I wish 10 ページ24
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あの日から、松本は櫻井に近づかなくなり、今井はずっと櫻井のとなりにいた。
松本と櫻井の距離感が近づいたのはほんの数日。
そんなことみんな忘れ去って、櫻井のとなりは今井がいることが当たり前だった。
松本は櫻井に少しも目もくれず、ひとりでいる。
松本がひとりで過ごしているのは以前と同じことなのに、櫻井はその姿を見ては胸を痛める。
松本は心底傷ついたのではないか、はたまた自分に怒っているのではないか。
櫻井はそんなことを毎日考えていた。
｢…翔、何考えてんの？｣
｢えっ、いや…別に…｣
｢…ふーん…｣
今井と2人で学食でお昼を食べる。
松本のことを考えるのは悪いことじゃないのに、なぜか今井には隠してしまう櫻井。
今井に、松本が自分のことを好きだと聞いて、とても驚いた。
驚いて、戸惑って、考えているうちに松本は目の前からいなくなっていた。
たった数日一緒にいただけなのに、喪失感が拭えない。
今井と話していても、すぐに上の空になってしまう。
今井はそんな櫻井に気がつかない振りをして話し続ける。
今までも何回かあった、今井が櫻井に好意を抱いている相手を引き剥がすことは。
ただ、櫻井まで巻き込んでこんなに無理やり引き剥がしたことは初めてだったけど。
なんやかんや、今まで一度も櫻井が自分を拒絶したことはないのだ。
今井はその事実に半ばあぐらをかいていた。
しかし、櫻井はぼーっと眺める視線の先に松本を見つける。
窓の外、上から松本を見下ろすのは初めてだった。
じっと眺めていたら、後ろから松本を追いかける女子がやってきて。
そのまま松本の腕に自分の腕を絡める。
それを見た瞬間、櫻井は思わず立ち上がって。
驚いた今井を差し置いて、学食から走り出した。
今井は櫻井の先ほどまでの視線を辿る。
窓の外には女性と一緒にいる松本が見えて、ああ、負けたのかと思った。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
