Episodo.04 ページ4
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｢えー！翔ちゃんの同級生なの？すごい偶然だね｣
新しくやってきた松本は、俺と同級生ということがバレるや否や相葉くんに質問攻めにされていた。
俺はコーヒーを飲みながらその様子をひっそりとながめる。
本当に松本だ。
しかしなぜ、この会社にこの歳になってやってきたのか。
たしか松本は大学卒業してから大手会社に就職したと聞いていたのに。
なぜ会社を辞めたのか、そんなデリケートなことには誰も突っ込まないけれど。
｢翔ちゃん、松潤とけっこう仲良かったの？｣
｢松潤って…距離縮めるの早すぎるだろ｣
｢いいじゃん、うちは上下関係なしのアットホームな会社でしょ？｣
まあ、そうだけど。
社長の智くんのことすら相葉くんは大ちゃん呼びだし。
初対面の松本も既にあだ名で呼ばれている。
なつかしい高校時代のあだ名、久しぶりに聞いた。
｢で？2人は仲良しなの？｣
｢…まあ、まあ…そうね、会うのは高校以来だけど｣
簡単に言えば、俺と松本は高校の同級生で、俺は松本のことが好きだった。
松本とは仲が良くて、ずっと2人一緒でよく遊んでいた。
3年間秘めた思いを最後の日に告げようと卒業式の日、松本の靴箱に手紙を入れた。
話があるから教室に来てください、とちゃんと自分の名前まで書いて。
だけど待てど暮らせど、松本が教室に来ることはなかった。
校舎から人がいなくなったころ、教室の窓から校門の方を覗けば、女生徒と肩を並べて歩く松本を見つけた。
それは少し前に松本が付き合い始めた彼女だった。
しかもその2人を繋いだのは紛れもない俺自身。
彼女から松本に手紙を渡してほしいと受け取ったラブレターを松本に渡したのは俺だった。
あの日の自分を後悔してももう遅い。
松本は俺の気持ちに気づいて教室に来なかったのか、彼女に悪いと思って来なかったのか、真実は松本しか知らないけれど。
卒業式の日のことは青春になんてなっておらず、思い出すだけで未だに胸がチクチクと痛むのだった。
そんな過去のこと、普段は思い出すことはなかったのに。
｢翔くん｣
｢っはい、なに？｣
｢はは、なにそれ。4月からよろしく｣
｢ああ…うん、こちらこそ｣
松本は自然体だ。
まるで意識しているのは俺だけのようだった。
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ぽっぷ(プロフ) - 作者さん» ありがとうございます(՞ ܸ.ˬ.ܸ՞)” スローペースになりますが、どうぞよろしくお願いします。 (12月30日 23時) (
レス) id: f3544ac854 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - またぽっぷ様の作品を拝見できること、大変嬉しく感じます。最近はまた他の作品を一から読み直していて、とても素敵な時間になっています。体調にお気をつけて、更新楽しみにしております。 (12月28日 11時) (レス) id: 0d9c2c70ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2023年12月22日 13時
