Episode.01 ページ1
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この季節になると毎年思い出す。
桜の木の下を、女生徒と肩を並べて歩く彼の姿を。
それはそれは遠くにあるようで、手を伸ばせばすぐにつかむことができる。
あの日の胸を締めつける感情は、ちっとも淡い思い出になんかなっていなくて。
今でも鮮明に心に残っているんだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「櫻井さん、こっちの資料確認お願いします」
「櫻井さん、こっちもお願いします」
四方八方から自分を呼ぶ部下たちの声が聞こえて、急ぎ足で声のする方へ向かう。
ひとりの後輩から資料を受け取れば、また後ろの方から声をかけられて。
それを受け取ればまた次の、とういうように後輩からのヘルプの声が止まらない。
俺は忙しなく後輩への対応、指示をこなしながらも自分の仕事もこなす。
この時期、3月末は毎年忙しいのだ。
多くの会社がそうだと思うが、3月末は決算月で、年度末で、とても忙しくなる。
俺は朝早く出勤して、残業もして、土曜日も会社に来て、みたいな生活が続いている。
別に会社に強いられているわけではいし、俺が好きでやっているだけなんだけど。
周りからはワーカーホリックだと言われてるけど、あながちまちがっちゃいない。
こんだけ忙しいのに、別に仕事に嫌気がさすこともなく楽しく仕事をしている。
「翔ちゃん、こっちも手伝ってよ」
「はあ？後輩以外の面倒は見ません」
「ええー、意地悪」
いつも何かと俺を頼ってくるのは相葉くん。
入社時期はちがうものの、年齢が同じでほぼ同期のようなもの。
俺はもともと大学に通っているときからどこかの会社に就職するよりも自分で企業したいと思っていて。
大学卒業と同時に同級生５人で会社を企業した。
最初は色々と苦労があったものの、なんとか会社は潰れずに、社員も少人数ではあるものの続いている。
企業したときのメンバーは、5人中俺ともう一人の男だけが今でも残っている。
「社長、相葉くんがうるさいんで仕事与えてやってください」
「社長って言うなって。俺そんな器じゃねえから」
「社長は社長じゃん」
この頼りなさそうな男がうちの会社の社長。
最初の会社設立のときにジャンケンで決めただけの社長だけど、仕事としては社員と変わらず働いている。
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ぽっぷ(プロフ) - 作者さん» ありがとうございます(՞ ܸ.ˬ.ܸ՞)” スローペースになりますが、どうぞよろしくお願いします。 (12月30日 23時) (
レス) id: f3544ac854 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - またぽっぷ様の作品を拝見できること、大変嬉しく感じます。最近はまた他の作品を一から読み直していて、とても素敵な時間になっています。体調にお気をつけて、更新楽しみにしております。 (12月28日 11時) (レス) id: 0d9c2c70ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2023年12月22日 13時
