episode246 ページ26
.
「な、なに泣いてんだよ…！！」
「だってうれしい…初めて言われたから」
「そ、そんなことない、だろ…1回くらい…言って、ないっけ…？」
俺は大きく首を振る。
言ってないよ、言ってたら絶対に覚えてるもん俺。
「好き」なんてセリフを翔くんが進んで言ってくれるはずないもん。
「だ、だとしても泣くことないだろ…」
翔くんはおろおろしてておかしかった。
別に俺は悲しいわけでも苦しいわけでもないのに、翔くんは俺を慰めようと必死。
嬉し泣きだって言ってんのにさ。
「…ずっと後悔してんだ、翔くんの告白を聞かなかったこと…」
「…気にすることないのに」
「そうはいかないよ…翔くんの勇気を踏みにじったんだから…
それがずっとチクチク胸に残ってて拭えなくて…
翔くんの口から好きって聞けることは一生ないと思ってたから」
「…そんなこと気にしてたのかよ
だいたいな、俺が言ってないんじゃなくておまえが好き好き言い過ぎなんだよ」
翔くんはのぼせてるのか照れてるのか、少し耳が赤い。
それだよ、そんなふうにかわいい反応見せてくれるから好きって伝えたくなるんだよ。
翔くんは恥ずかしそうに眉を寄せて、嬉しそうに口元はにやけてんだから。
「毎日でも言う。翔くんが好き、大好き」
「知ってるよ」
翔くんはかっこよくニヤッと笑った。
胸がキュンと高鳴る。
翔くんって可愛いだけじゃなくて、男としてもカッコいい。
乙女の気持ちなんてわかりゃしないけど、翔くんはきっと女の子にモテるんだろうな。
でも女性たちは知らない、翔くんはとっても美しいことを。
夜空を見上げる翔くんの背中がとても綺麗で、思わず手を伸ばす。
「っ.....なんだよ...」
翔くんの背中をなぞって、後ろから抱きしめる。
翔くんはビクッと肩を震わせて首だけ俺を振り返った。
「ちょ、ちょいちょい...なにやってんの...」
「んー...翔くんのこと抱きしめてる」
「いや、ここ...公共の場なんですけど...」
誰もいないとはいえ、ここは旅館の温泉なわけであって。
翔くんが恥ずかしがるのもわかるけど、俺は翔くんへの愛おしさを止めることはできない。
月夜に照らされて、この場所には俺らしかいないみたい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 866人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
血濡れ蛍 - ぽっぷ様、星に願いを読ませていただきました！MSもANも、めっちゃ尊かったです。リクエストで『獣人の世界で、狼のドえ○ちなMさんと、猫の強気ツンデレなSさんの恋物語』というのはどうでしょう？ 【パスワード教えて頂けませんか？】 (2020年11月4日 1時) (
レス) id: 6a8761a84d (このIDを非表示/違反報告)
おしょう(プロフ) - いつも楽しく読んでいます。私は可愛すぎて不良グループのに目をつけられていじめられたり、れいぷされちゃったりするSくんを不良グループにいるけど、Sくんが気になるMくんがSくんへの気持ちでSくんを助けるストーリーが見たいです。 (2020年3月10日 21時) (レス) id: d65b68a1f5 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ｱﾝｹｰﾄのｺﾒﾝﾄがどこに書いていいかわからず…こちらにm(__)m私はとにかくSさんが大好きなMさんと、とにかく鈍感なSさんみたいなのが好きです♪でも、これってMSの基本型ですかね(笑)もしよかったらﾊﾟｽｺｰﾄﾞ教えてもらえたら嬉しいです！ (2020年2月18日 16時) (携帯から) (レス) id: 38b39dd656 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷ(プロフ) - しまさん» ありがとうございます。本当に書いてて楽しかったです。続編もまたかけたらいいな、と思っています。その時はまたよろしくお願いします。 (2019年12月22日 20時) (レス) id: d71215e61d (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷ(プロフ) - ぱるこさん» ありがとうございます。番外編は作りたいですね〜。毎日読んでくださってありがとうございました。 (2019年12月22日 20時) (レス) id: d71215e61d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2019年9月20日 19時
