episode35 ページ35
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｢あ、ニノが来た｣
久々にサークルのドアを開くと、大野さんがだらんとテーブルにだれていた。
ほんと、天文サークルとは名だけだな。
こんなにだらけた人間見たことないよ。
そうか、俺がいないと将棋の相手がいないんだ。
翔ちゃんじゃ大野さんは歯が立たないからね。
部屋には大野さんしかいなくて、俺は横にちょこんと座った。
｢久しぶりだな｣
｢ですね｣
｢それだけかよ。寂しかったんだぞ｣
｢ふふ、俺も寂しかった｣
大野さんはなぜか知らないけど俺を甘やかしてくれる。
こんな見た目だから、基本的には人に優しくしてもらえるし可愛がってももらえるけど俺が求めているものじゃなくて。
だからいつも寂しくて。
けどここにいると少しはその寂しさが拭えていたのかもしれない。
大野さんはストレートに、友達として俺を求めてくれるから。
相葉くんとはちがうけど、それはそれで嬉しい。
｢相葉くんもうすぐで来ると思うぞ｣
｢…大野さんは気づいてたの？その…俺と相葉くんの色々と…｣
｢んー…正直言うと、相葉くんと飲み行ったときに相葉くん酔っ払って色々と言ってたんだよね
ニノが男とホテルに…とか、俺はニノが好きなのにニノは…とかね｣
｢へえ…｣
それはいつの話なのかな。
相葉くんはいつから俺のことを好きでいてくれたんだろう。
最初からホテルに行くのを止めてくれていたから、もしかしてそのときから？
いや、俺よりも早いってことも…。
そう思うとすごくもったいない時間を過ごした気がしてならない。
昨日、LINEをいったん消して今まで相手してくれた人たちとは一切連絡が来ないようにした。
これで新しい自分になれた気がした。
そんなことを考えていたら部屋のドアが開いて、翔ちゃんと相葉くんが顔を出した。
相葉くんは俺を見つけると、ぱあっと笑顔になる。
その反応、うれしい。
翔ちゃんはいつもの席に座って、相葉くんは俺のとなりに。
実は今日はサークルのみんなに報告しようと思って2人で決めたんだ。
潤くんはいないみたいだけど、まあいいか。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2019年3月17日 20時
