episode79 ページ32
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翔くんはいつだって真っ直ぐだ。
自分が正しいと思ったら頑なだし、まちがっていると思ったらすぐ謝る。
今日だって、別にわざわざ謝りにこなくてもいいことなのに何時間も待っているし。
翔くんといるとペースが乱される。
いつもみたいに強気でがっと来てくれたらいいのに、今日の翔くんはだめだ。
そんなにしょんぼりとされては困る。
俺はどうしたらいいんだよ。
ベットで一緒には寝たくない、と強く言う翔くん。
だろうね、翔くんはそうだろうね。
男同士とか嫌だろうね。
そりゃ俺だって一緒に寝たいわけじゃないよ。
だけど、強く拒絶されると少しムッとした。
布団に入った翔くん。
俺もベットに入る。
別にもう眠くはないけど、無理に目を閉じて眠気を誘う。
「……松本…」
名前を呼ばれて、振り返りはせずに返事だけする。
翔くんの声はすごく眠そうでぼんやりしていた。
「…松本…俺がこの前の飲み会でなんで帰ったか分かるか……？」
翔くんは眠そうな声でそんなことを聞いてきた。
なぜ今、それを聞く……？
翔くんの質問の意図はよく分からない。
それを俺に言いたくないから、わざわざ謝りに来てくれけど教えてくれないのではないのだろうか。
俺が何も答えないでいると、翔くんはひとりで続きを話し出す。
「……あのとき、俺見たんだ…松本とそらがキスしてるとこ…」
「え……？」
言われるまで忘れてた。
そうだ、あの日は偶然そらに会って…。
そのままいつものように軽くキスをした。
翔くんはそれを見ていたんだ。
でもだからといってなぜ帰る必要があるのだ。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2019年3月1日 20時
