episode51 ページ4
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「おっ…おまえ、またこんなこと…！｣
心底楽しそうに笑う松本。
からかうってよりかは、満足ですっていう顔をしている。
なぜだ…なぜ俺は腹が立っていないんだ…。
初めて中庭で無理やりされたときは、あんなに怒っていたのに。
自分で自分の気持ちがよく分からなくて心がぐちゃぐちゃに戸惑っている。
そんな人の気を知ってか知らずか、松本は柔らかく微笑んで俺のことを抱きしめた。
｢な…！なんだよ…！｣
松本にがっちりと抑え込まれて、ぎゅうっときつくて腕も動かせない。
｢べつに、誰かとハグしたい夜だってあるでしょ｣
｢あ、あったとしても、俺じゃなくていいだろ！！｣
｢…なんか今日は翔くんじゃなきゃダメみたい｣
｢はあ……？｣
ほら翔くんも腕回して、って言われて。
訳のわからないまま松本の背中に腕を回した。
(なんだこれ…なんだこれ…)
なんで俺は松本の言う通りにこいつとハグをしているんだ。
なんで抵抗しないんだ。
なんで嫌じゃないんだ。
｢……ありがとう翔くん……｣
ポツリと囁く松本の声が聞こえて、俺の心はますます戸惑いの色を強くした。
(…心臓うるさい…おさまれ…)
トクントクンと落ち着いた松本の心音とは対照的に、俺の心臓はドクドクうるさかった。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2019年3月1日 20時
