episode72 ページ25
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飲み会の次の日は散々だった。
二日酔いで頭は痛くて、無性にお腹が空いてインスタントラーメンでも食べようと久しぶりに鍋を使ったら火傷して。
絆創膏を自分でちまちま貼っていると急に松本との記憶がフラッシュバックしてなんだか腹が立った。
これも何もかもあいつのせいなんじゃないかと八つ当たりしたい気分。
「しょーちゃーん、しょーちゃーん」
「なに？」
「すげえ食べるね。やけ食い？」
相葉くんと食堂でお昼ご飯を食べながら、やり切れないもやもやを消化中。
この説明のつかない気持ちは食べて解消するしかないと、唐揚げ定食大盛りを頬張る。
ある意味やけ食いではある。
「なんかピリピリしてるね」
「そんなこと、ないけど…」
「そういえば体調大丈夫？打ち上げのとき途中で帰っちゃったから」
「あー……うん、まあ」
別に体調不良でもなんでもないのだけど。
実際に次の日は二日酔いだった訳だし、嘘をついたことにはならないよな、うん。
オープンキャンパスの振替休日が2日間あって、その2日を無駄にしてしまった。
「そうだ、松潤が翔ちゃん追いかけてったじゃん」
相葉くんから突然松本の名前が出てドキッとする。
箸が唐揚げをつまんだまま止まってしまった。
相葉くんは気づかずにカレーを食べながら話を続ける。
「松潤、戻ってきてからなんだかしょぼんとしててさ。翔ちゃん松潤になんかした？」
「し、てねえよ…」
「あやしーい」
相葉くんは楽しそうに事情を探ろうとしてくる。
何があったか教えてよ、と相葉くんは興味津々だけれど。
説明しようにも俺にだってよく分からないのだから説明のしようがない。
「なんもないって。お互い酔ってたから覚えてねえし」
「なんだ、つまんないな」
つまんないってなあ…。
こっちは訳わからん感情に振り回されてるっていうのに…
いっそのこと相葉くんに話してみようか。
俺の気持ちのもやもやを。
一瞬そう思ったけど、めんどくさいことになりそうだからやめよう。
相葉くんはきっと、簡単に答えを出す。
俺が"訳分からない"としているこの気持ちに。
今は怖いからまだいい。
まだしばらくは、今のままで。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2019年3月1日 20時
