episode49 ページ2
.
｢…松本…？｣
黙ってしまった松本をのぞき込む。
またやってきた。
“表”の松本だ。
俺とふたりきりになるとしおらしくなる、表の松本。
｢…翔くんは俺を買いかぶるよね、いつも｣
｢そんなことねえよ、おまえの自己評価が低いだけだ
おまえは自分が思っているよりかっこいい男だぞ｣
｢………なんだそれ…意味わかんねえし｣
暗闇だと松本の表情がよくわからない。
それがなんだか不安で、手を引いて街灯のしたまで松本を連れていく。
なんだよ、って松本は言いながら。
街灯の下で見た松本の顔は、驚くほど綺麗だった。
｢…………｣
｢…なに…人の顔じっと見て…｣
｢いや…別に…また不安そうな顔でもしてんのかと思って…｣
思わず見惚れたとは言わなかった。
松本が男前ってことは知っていたけど、こんな美人だったとは。
｢…翔くん俺に関してはすごくお節介だよね｣
｢…そんなつもりないけど｣
｢翔くんのそういうまっすぐなとこ、すごく胸が痛いのに
なんか嬉しいよ｣
｢へ？｣
｢うっとうしいのにさ、ちょっと嬉しいね
俺のことなんて誰も見てないから｣
自虐的に言いながらも、顔はいつもとちがって柔らかく笑っている。
誰も見ていない、の意味は理解できる。
みんな松本の見た目だけ見て、中身を見てくれないってことだろう。
松本がなかなか本性を見せてくれないってのもあるだろうけど。
松本のことを知りたいと思っている人はきっとたくさんいる。
｢……誰もおまえのこと見てなくても、俺は見てる
だからもっと自信もって────｣
松本の顔が急に近づいてきた。
あれ、いつの間にかがっつり頬を手で包まれてるし。
なんだよ、まだ人がしゃべってるのに。
ああ顔近いなって他人事みたいに思って。
なんか記憶がフラッシュバックした。
なんかこの前もこんなことあったな。
そうだ俺が松本の部屋に泊まったとき、眠りに落ちる寸前にもこんな光景を見た。
(あのときはキスされた………？)
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 666人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2019年3月1日 20時
