episode292 ページ12
.
｢ゆかりじゃん｣
｢2人、今帰り？一緒にいい？｣
｢いいけど｣
ちらっと俺を見た相葉さん。
嫌だけど、すごく嫌だけど。
いいよって意味で小さく頷いた。
｢雅紀と帰るの久しぶりじゃない？｣
｢そーだね、小学生ぶり｣
｢昔は栗原くんとか塩田くんとかと一緒に遊びに行ったもんね｣
｢あ〜なつかしい！｣
彼女は暗号を話し出す。
彼女と相葉さんにしか分からない、昔話。
この人の話の登場人物、男しかいないのかよ。
こりゃ女子に嫌われるな。
はーあ、つまらない。
さっきまで相葉さんと2人で楽しかったのに。
このまま帰ってやろうかと思うけど、それじゃ2人きりの状況を与えてしまうからしてやらない。
｢雅紀と話すの久しぶりだからたのしい〜！｣
｢同じ小学校なのゆかりくらいだもんね｣
｢ね〜、...あっ、ごめん二宮くんに全然わからない話ばっかりしちゃって...｣
......この女...。
わざとらしくて腹が立つけど、ちゃんとぶりっこして返してやった。
私の方が彼のこと知ってる、っていうアピールが甚だしい。
でも、実際ほんとに俺より彼女の方が...。
｢じゃ、ゆかり。俺ん家ここだから｣
｢あー、もう着いちゃった｣
｢じゃあまた明日ね｣
にこって笑って、彼女にしか挨拶をしない相葉さん。
｢....二宮くんは？帰らないの？｣
｢え、帰るけど｣
｢ニノはちょっと待ってて、やっぱ家まで送る｣
｢え..？｣
声を上げたのは、俺じゃなくて彼女。
なんで？って顔。
俺も少しどぎまぎしてしまう。
相葉さんは隠すつもりはないのかと。
男友達を家まで送るなんて普通じゃないだろ..。
だから彼女の反応は妥当。
まあこの場合、彼女は俺らの関係を知っているから妥当の反応とはいえない。
相葉さんが、ん？と彼女の方を見ると、すぐに顔を取り繕って笑った。
｢2人はほんとに仲がいいのね｣
｢まあね｣
｢...私も同じ中学行けばよかった..｣
ぼそっとつぶやいた声は、俺にだけ聞こえた。
俺にだけ、聞かせた。
俺は中学のときにあんたがいたら、なんて思うだけで嫌気がさすね。
いなくてよかった、本当に。
あんたと相葉さんが一緒にいる未来を想像すると苦しくなる。
そんな敵意の目で見つめられたって、困るよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1300人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
atomm(プロフ) - はじめまして。すれ違う２人が切ない。ニノちゃんの気持ちが痛いほど切ないです。これからも楽しみにしています。 (2017年9月17日 22時) (
レス) id: acd781c8fa (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷ(プロフ) - Hallさん» はじめまして！ゆかりも可哀想な人ですからね笑。もう少し相葉くんがしっかりしてくれたらいいのですが…2人は仲が深まるのかどうか…。これからも2人を見守ってください！ (2017年9月12日 20時) (レス) id: dd3e683e77 (このIDを非表示/違反報告)
Hall(プロフ) - はじめまして！初コメ失礼します。今回はもう、電車の中で叫びたくなるくらいすごい回でした…。ゆかりちゃんに殴り込みに行きたい()ですが、これを機に仲が深まるよね！と思ってます（笑）にのあいにはぜひぜひ幸せになって欲しいです！続き楽しみにしています！ (2017年9月11日 18時) (レス) id: e2a496e471 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷ(プロフ) - 櫻もちさん» いつも読んでいただきありがとうございます。気づいてくださったんですね！！とても嬉しいです...！これからも2人を見守ってやってください。 (2017年8月29日 20時) (レス) id: dd3e683e77 (このIDを非表示/違反報告)
櫻もち - いつも楽しく読んでいます。気がついたらぽっぷさんの星が、大野さんカラーになっていました。おめでとうございます！ (2017年8月28日 20時) (レス) id: 183f84eacb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年8月21日 21時
