episode217 ページ17
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｢やっぱあいつ櫻井のこと好きなんじゃん...！｣
｢...そう、みたい...気づかなくて...｣
松本に話した昨日のこと。
風斗と少し出かけて、その帰りに告白されたこと。
電話のこともちゃんと隠さず。
風斗に抱きしめられて、耳元で.........。
｢わざと俺に聞かせるように言ったんだ。宣戦布告かよ｣
｢...そう、なのかな...｣
それで松本が滾ってくれるっていうなら嬉しいけど。
松本に聞こえてなかったわけだし。
意味ないけど…。
さっきまで暗い雰囲気だった松本は、今では拗ねているように見える。
こういう松本は好き。
可愛いと思う。
｢昨日デートしたの...？2人で...｣
｢で、...デートじゃないよ｣
｢デートじゃん...｣
悔しそうな声を出す松本。
昨日も風斗がそんなことを言ってたっけ...。
男2人、それに付き合ってもなければデートじゃない。
風斗とは買い物に行って、ご飯食べただけなのに...。
あれ、これってデートなの、か...？
いや、そんなことない。
｢...好きな人とじゃないとデートって言わないよ…｣
｢...そんな小学生みたいな...｣
(......む......)
松本が拗ねるのは分かるけど。
俺だって不本意なんだ。
風斗とデートする気があったわけでもないし、そういう気持ちもないのに...。
小学生だなんてさ...。
そうだよ、だって中学は男子校だったんだ。
恋なんて、付き合うなんて分かんないよ。
人の悪意には気がつくけど、好意になんて気づかない。
だってそれがどんなものか知らないんだもん。
｢...じゃあもうデートでいい...。風斗とデートした｣
｢...なんだそれ｣
だって松本がそう言ったんだ。
じゃあデートなんだろう。
好きな人ともしたことないのに、あれをデートだと思えないけど。
こういうとこが小学生みたいって言われちゃうのかな…。
松本は俺の様子を伺うみたいにのぞき込んできた。
自分でもめずらしく、ちょっと拗ねるような気になる。
松本にあまりこんな態度をとったことがない。
...ケンカになって俺が何も言い返せなくなったりしたら、松本を余計にイライラさせてしまうだろうから...。
やめよう、こんな態度は。
合理的じゃない。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年6月4日 20時
