episode167 ページ7
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潤くんからもらった映画のペアチケット。
いつ相葉さんに声をかけようかと迷っていた。
相葉さんと2人で遊びに行くことは今までたくさんあった。
何ならお互いの部屋にもよく行く。
だから週末に映画行こうぜ、なんて今までなら簡単に言えることなんだけど。
いざデートとなると...。
言えない。どうしようもなく、言えない。
だって緊張するんだ。
普段通りにはしゃべれるし、いつものボディータッチも大丈夫。
てか相葉さんがあまりにいつも通り過ぎて付き合ってることなんてほぼ忘れかけてたようなものだから。
それを潤くんがデートだなんて言うと、変に意識してしまう。
これで相葉さんとの関係も一歩前進出来るかもしれない。
ちょっとがんばってみなきゃ。
｢あ、相葉さん...！｣
｢ん？｣
｢今度の土曜日なんだけど...｣
｢あ、ニノも聞いた？｣
｢へ？｣
がんばって映画の誘いをしようと口を開いたのに。
相葉さんが突然 訳の分からないことを。
な、何を聞いた？なのか...。
｢今度の土曜日、柳たちと遊びに行こうって｣
｢え？｣
｢俺も行くからニノも行かない？｣
｢あ......｣
がんばった。がんばったよ。
デートの誘いをしようと思ったけど、相葉さんには先約があった、それだけ。
それだけなのに、俺の心がポキッと折れる音が聞こえた。
ちょっと恋人らしいことしようと思えばこれなんだもん。
合わないんだね、俺たちって。
出しかけていた映画のペアチケットを、後ろに隠した。
｢俺は...行かないかな...｣
｢え！行かないの？｣
｢用事入ってるから｣
｢そっか。残念｣
相葉さんは少し口をぷって尖らせたけど、またいつもの笑顔。
相葉さんは行くんだよね。
ああ、そうですか。
勝手に行けよばーか、なんて。
理不尽なことを心で思っていた。
誰が悪いとかじゃないから、苛立ちとかガッカリをどう処理していいか分からない。
タイミングが悪いんだよ。
そもそも俺たちって相性が良くないんだきっと。
そう思えば仕方ないかとやりきることが出来そうだ。
｢楽しんでね｣
目の前の相葉さんに、俺にしかわからない皮肉を伝えた。
俺にはそれを言うので精一杯だった。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年5月5日 19時
