episode196 ページ36
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｢っあー、つかれた！｣
訳が分からぬまま走ってたどり着いたのは智くんともよく来る公園。
ファミレス付近から走ってきたことはなかったから、息ができなくて苦しい。
以前と比べて体力がかなり落ちた...。
抵抗する力がなくとも、せめて逃げ足さえ早ければ...。
ここまで来りゃ大丈夫だろって、前の男が振り返った。
奥二重に細い眉毛。
前髪をさらりと右に流した爽やかな男だった。
｢あ、の...ありがとうございます｣
｢お兄さんかわいい顔してんだから気をつけなよ｣
｢は、はあ......｣
かわいいなんて松本と智くん以外に初めて言われた...。
爽やかな男は息一つ切らさずニコニコしている。
俺も愛想笑いくらいした方がいいのかもしれないけど、あんな事があって笑う気にもなれなくて。
でもさっきまでの恐怖が少しずつ和らいでいく。
というかびっくりに飲み込まれちゃった。
細い体で男たちをなぎ倒していく姿に圧倒された。
｢お兄さんああいうの初めてじゃないでしょ？｣
｢へ...そ、そんなこと...｣
｢ふーん、どもりなんだ｣
｢え？｣
ぼそっとつぶやいた声は聞こえなかった。
なんでわかるんだろう。
気弱な感じとかが伝わるのかな。
俺も護身術くらい習った方がいいかもしれない。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年5月5日 19時
