episode173 ページ13
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冷たい風が体をすり抜ける。
相葉さんって馬鹿なくせに。
なんで俺のことに関して感が鋭くなっちゃうの。
それだったら彼女とデートだって信じてくれた方がよかったよ。
こんなの...恥ずかしくて...。
核心をつく相葉さんに顔がカッとなった。
そんなんじゃないよって笑って言おうと思ったのに。
相葉さんの顔を見たら言えなかった。
｢...誘ってくれたらよかったのに｣
｢...だって...柳たちと遊びに行くって言うから...｣
｢ごめんね、伝えるタイミング悪かった...。でも俺ニノが誘ってくれたら嬉しかったよ｣
勝手なこと言うなよ。
先にそんなこと伝えられたら誘えるかっつーの。
嬉しかったとかさ...。
そんなこと今さら言われたって...。
誘えばよかったってちょっと後悔しちゃうじゃん。
｢相葉さんは...、いつも分からない...｣
｢え？｣
｢何考えてんのか...全然わかんない...｣
いつも笑顔で、みんなからからかわれてヘラヘラして。
女子といても男子といても全く態度が全然変わらない人。
俺の前でも何にも変わらない。
だからわからない。
相葉さんが何を考えているのか。
俺のことをどう思っているのか。
｢相葉さんは...俺のこと好きなの...？｣
｢え、好きだよ｣
｢...俺と付き合ってんの？｣
｢え...うん。前に言ったじゃん｣
こんなときでもいつもの相葉さん。
どうしたのニノって、優しい笑顔。
相葉さんの答えが嬉しくないわけじゃない。
だけど、そうじゃない。
どんどん腹の中で感情が高ぶって、涙腺が刺激される。
(...やばい...)
泣きたくない。
相葉さんの前でなんて泣きたくないのに。
堪えれば堪えるほど。
唇を噛み締めても溢れる涙は止まらなかった。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年5月5日 19時
