episode172 ページ12
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小高い丘のベンチにちょこんとひとり座る。
歩いてきた道を戻ってたら見つけた。
しばらくぼーっとしていたくて。
家に帰りたくなくて。
ベンチで一息。
なんでこんなにイライラしてんだろう。
俺って短気ではないと思ってたんだけど。
恋って人の人格も変えちゃうんだな。
相葉さんがクラスメイトと遊びに行くのは別になんとも思わない。
タイミングが悪かっただけ。
それだけなの。
俺ってほんとに女々しいやつだから、女の子みたいにこんなことで不機嫌になっちゃう。
自分でもこんなやつだったなんて知らなかったよ。
あーあー。
明後日からテスト返されるな。
また復習しなきゃいけない。
勉強ばっかの日々の方が楽だった。
帰ろう。
帰ってゲームしよう。
それがいい。
｢────ニノ！｣
帰ろうって思ってたのに。
立ち上がった先には息を切らした相葉さんがいた。
(...なんで今...)
追いかけてくるタイミングおかしくない？
そう思ったけど、口には出さずにちょっとだけ口角を上げてみた。
｢相葉さん、どうしたの｣
｢どうしたって...｣
｢柳たちのとこ戻りなよ｣
人前では感情的になっちゃいけない。
いつもそれを頭の隅に置いている。
だけど本当は。
なっちゃいけないじゃなくて、感情的になれない。
言いたいことも人に言えない。
気持ちを伝えることもできない。
相葉さんの前では理解あるやつでいたい。
そんな小心者。
｢ニノ...そのペアチケット｣
｢ああ...俺 彼女とかいないからね？｣
そこは勘違いしないでね。
しないと思うけど。
｢じゃなくてさ...────それ、俺を誘おうと思ってたんじゃないの？｣
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年5月5日 19時
