episode99 ページ19
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俺はパラソルの下に座って荷物番。
家から持ってきた本でも読もうかと鞄を漁っていたら、どすんと誰かがとなりに座る。
｢...海、入らないの...？｣
｢櫻井がひとりじゃ寂しいかなって｣
ニコッと笑う松本は太陽に照らされて眩しい。
上半身裸の姿も、目に毒だ。
ひとりなんて、慣れてるのに。
学校でだって、家でだってずっとひとりだったから大丈夫なのに。
気を使わず海を楽しんでほしい。
｢櫻井 今度俺の家においでよ。一緒にご飯食べよ｣
｢え...｣
｢俺が櫻井の家でご飯作ろうか？｣
｢ま、......なんで...？｣
松本の口からぽんぽん出てくる提案が不思議で。
この前、あんまりご飯を食べないって言ったことを覚えているのかな。
わざわざ来てもらうなんて、そんな...
｢櫻井すっごく寂しそうなんだもん｣
｢.........｣
｢そんな顔されたらほっとけないだろ｣
どういう、感情なんだろう。
松本は誰に対してもきっと優しい。
だから自分が特別だなんて思うのは勘違いも甚だしいけど。
こんなの、だめじゃん。
松本から見たら、俺は寂しそうなのかな。
寂しかったら、松本は来てくれるのかな。
ほっとけないって、どういうこと。
俺だけ......じゃないのかな。
俺にだけ、こんな気持ち抱いてくれたらいいのに。
ぶわっと色んな気持ちが頭の中で文字になるけど、俺はなんて返していいか分からなくて。
｢櫻井も海ちょっとだけ入ろうよ｣
そう言ってきた松本に、ニノと同じ返事をしただけだった。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年2月17日 18時
