episode93 ページ13
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ーーーピンポーン
櫻井の部屋の前。
ファミレスから歩いて7分ほどのマンション。
303号室の前に立ち、携帯を開いて大野さんからのメッセージを確認する。
(部屋番号合ってるよな...)
コンビニの袋を抱えた俺は、少し緊張しながらチャイムを押す。
一応来る前に家に行くね、というメッセージは送ったのだけど。
既読もついていない。
大丈夫だろうか。
倒れていたりしないよな。
中から反応がなくて、もう一度チャイムを押す。
心配な気持ちがどんどん焦りに変わってく。
(大丈夫かな...)
櫻井って貧弱そうで心配になる。
打たれ弱そうだし、ひとりになると嫌なことばっかり考えそう。
そして自分で自分をがんじがらめにしちゃうような、そんな人。
うあ...心配...。
もう一度チャイムに手を伸ばしかけた時、がちゃりとドアが開いた。
｢さくら、....い...？｣
｢......だ、れ......｣
ぼーっとした顔でドアから顔を覗かせた。
おでこはピンで前髪をとめていて、冷えピタを貼っている。
だれ、と焦点が合わないのか、目がふらふらしていて。
(えーーーーーー)
だれって......
(こっちのセリフ......)
｢え、櫻井...？｣
メガネをかけていない、この目の前のイケメンは一体誰ですか。
一瞬本気で、櫻井のお兄さんか弟さんかと思った。
だけど一人っ子だと以前言っていたのを思い出したからちがう。
お父さんにしては若すぎるしお父さんな訳もない。
じゃあ本当に櫻井...?
このイケメンが、櫻井...？
顔を赤くして熱っぽい櫻井は、女の子なら一目惚れしちゃうほどの綺麗な顔だ。
｢...ん、まつ、も......？｣
やっと目が合ったと思ったら...
｢っ、櫻井！｣
目をふっと閉じて、ふらっと俺の体に倒れてきた。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年2月17日 18時
