episode13 ページ13
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｢ただいま...｣
誰もいない部屋に帰って、ベッドに転がり込んだ。
かずとの喧嘩なんて、いつ振りだろうか。
小さいときはよくしたけど、中学高校と喧嘩なんて1回もなかったのに。
小学生のときに、大喧嘩をしたことを覚えている。
あのときはなにが原因だったかな...。
しょうもないことだったと思う。
小さいときはお互いに気を使いあったりなんて心構えなかったから。
喧嘩して、いつも謝るのは俺だった。
絶対にかずが悪くても、絶対に謝らないって決めてても、かずがひとりで泣いてるって思うといてもたってもいられなくなって。
結局は俺が折れるんだ。
俺が謝ったらかずも泣きながらごめんねっていつも言ってたっけ。
俺はそれでよかった。
素直になれないかずのことは分かっているからそれでよかったのにな。
ああ、眠たい。
もう何も考えずに眠ってしまおう...。
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ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーピンポーン
チャイムの音で目が覚めた。
ぱっと目に入った外の景色はもう暗くなっていて。
こんな時間に誰だろうと思いながらドアを開けば...
｢おばさん...？｣
｢潤くん、こんな時間にごめんね｣
かずのお母さんだ。
この時点で、なんとなく嫌な予感はしていた。
｢かずがね、帰ってこないの。潤くんの家にいるんじゃないかと思って｣
｢え...家にはいないけど...かず帰ってないの？｣
｢そーなのよ。高校生だし、心配しすぎだとは思うんだけど...。最近ずっと元気なかったし...もしかして潤くんと喧嘩したのかしら？ここんとこ朝も家に来なかったし...｣
最近ずっと元気なかったの？
俺のせいだ...。
｢潤くん、かずから連絡あったら教えてちょうだい｣
｢わかりました...｣
おばさんが出てって、バタンとドアが閉まった。
頭の中がぐるぐるぐるぐる。
かずが帰ってない...。
あんな幼い顔をして何も知らない純粋なかずのことだ。
悪いヤツらに捕まったりしたら...。
いてもたってもいられない。
携帯と財布だけを持って、俺は夜の街を走り出した。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2016年3月16日 23時
