－アネモネ－永瀬廉 NO.2 (ページ7)

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『岸くんも、大学の帰り？』

岸「そうそう！やっと夏休みーて感じ！」

自転車を両手でで押しながら私の歩くスピードに

合わせて歩いてくれる優しい彼に心がポッと暖かくなる。

どうやら。大学の違う岸くんとも

今日で講義が終わって、明日から

夏休みが始まるのが一緒だったみたいだった。

岸「昔もさー。こうやって、二人して帰ったよなー」

『そうだね！、、っ』

お互いの大学の話をしていれば、

ふと呟いた彼の言葉に隣を振り向くと

懐かしむかのように、

彼は、顔を空に見上げていて。

そんな彼を見ては

いつも一緒に帰ったなーと

私も同じように昔を思い出しては

自然と頬が緩んでいた。

けれど。

その後突然。

すぐに私の瞳に落ちてきた

あまりにもまっすぐな視線。

目線が交わると私を見つめて優しく微笑む彼に

目を逸らす事が出来なかった。

『、、、』

岸「....てか、暑くね？今日一段となんかさー」

その後、マンションに着いて

5階まで上がる為に、エレベーターに乗り込むと

また前みたいに狭い中、二人きりの空間になって。

思わず、何を話していいか分からなくなっていれば

先に口を開いたのは、バタバタと

白シャツを掴みながら、体を涼む岸くんだった。

そんな彼の声に目線を上げると

思っていたよりも近い距離にいた彼に

思わず、心臓の音が速くなっていくのを感じる。

けれど。

2週間前のこの前と違うのは何故かその鼓動の音が

前よりも落ち着いている事だった。

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