*3__年下くん ページ3
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「よし。帰ろっか」
『はい。あの今日は..本当にすみませんでした』
「え、ああもかして、雄大のこと?
さっきも言ったけどほんと全然気にしなくて
大丈夫だから」
バイト終わりの帰り道、店内から二人して出ると
もうすっかりあたりは暗くなっていた。
7月前半の休日の今日の気温は汗がびっしりと
張り付くくらい蒸し暑くて。
けれど田島さんと家まで歩く時間は
不思議とそんな暑さも吹き飛ぶくらいに
夢のような気分になった。
歩く歩幅を合わせてくれたり
車道側を歩いてくれるなんて事が
自然と出来ちゃう優しすぎる彼に
また気持ちが余計に溢れてしまいそうになる。
そんな中、ふと思い出した雄大の事を謝ろうと
隣に並ぶ私より遥かに高いスラっとした背を
見上げると
私の言いたい事をすぐさま理解した彼が
また優しく少し微笑むと
そうゆっくりと首を左右に振った。
『あっ、ありがとうございます。』
「いや、全然!」
その時、一瞬だけ。重なった彼の綺麗な瞳に
速くなる鼓動が気付かれないように
思わずパッと目を逸らすと
しばらくの無言の間口を開いたのは
田島さんだった。
「でもほんと、Aちゃんは雄大と仲良いよね」
『えっ?そうですか?まぁ昔からの幼馴染ってだけですよ』
「いや。でも羨ましいな。そうやって夜に友達とLINEするのとかめっちゃ楽しそう」
ほんのりと月の光に照らされた田島さんの
優しい笑顔と揺れる白色の金の髪の毛が
あまりにも綺麗で息を呑む。
魔法にかけられたみたいに
全身の身体が固まって。動けなくなった時
__俺もさ。あんまり遅くない時間だったら..
夜に..たまにLINEしたらダメかな?
__なんか。最近寝れなくてさ..
突然彼の口から発された予想だにしない言葉に
またもや、より固まった身体は
そう簡単には解けそうになくて。
ただ、その言葉を顔を少し赤らめて
恥ずかしそうに口にした彼に
少しの期待と動揺する心は抑えられそうになかった。
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作者名:もなか | 作成日時:2021年10月11日 2時