*8.先生と生徒 ページ8
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『それよりも、、せっかくの自由時間なのに..1人で寂しくない?ほらみんな誰かと遊んでるよ』
「ん、、そうですか?僕は1人の方がいいですけど」
『もしかして嘘、、ついてる?本当は誰かと一緒にいたいとか、』
「え、、?」
話を逸らす為か何なのか
唐突に自分でも無意識にそんな言葉が
彼へ自然と溢れていたんだ。
彼の気持ちなんて知らずに。
窓越しに見える楽しそうな生徒達を見る彼の瞳が
屋上で見た彼の悲しそうな苦しそうな瞳と
どこかよく似ていたからかもしれない。
けれど1人でいる彼の事が気になって店内に
入ったとは言え、今の聞き方は
さすがにダメだったとそう気付いた時には
もう遅くて
隣にいる彼がまん丸した瞳でじっと私を見つめる。
まるで私が言った事が真実であるかのように
動揺の色が垣間見えた気がした。
前にも感じた触れてはいけない何かに
もう一度触れてしまったようで
咄嗟にごめんとそう頭を下げると
頭を上げるより先にゆっくりと
降ってきた言葉は彼のもので。
__仲良くなればなるほど
皆遠くにいっちゃいそうで。
それが怖いんです。
__それなら最初から1人の方がいいかなって
触れてはいけない彼の心の内を
ただの教師の私に
少し見せてくれた彼の言葉
震えまじりの声にすぐさま顔を上げると
彼は何かに少し怯えながら
何かを思い出すかのような
そんな顔つきで
窓越しに映る楽しそうに
はしゃぐ生徒達を見てその彼が抱える何かと
今現在を重ねているかのようにそう呟いていた。
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作者名:もなか | 作成日時:2021年12月11日 15時