*5.先生と生徒 ページ5
.
.
.
.
「はい。では、今日から転勤で来た方を紹介します。一緒の仲間になるのでお互い頑張りましょう。」
朝礼の挨拶の後、そんな声が聞こえてきた
けれどさっきから全然集中出来なくて
意識が遠のいては
何とか持ち堪えるを繰り返す。
昨日の黒田くんの切なげな瞳が気になって
夜中までそんな事を考えていれば
結局、学校へ寝不足状態で来てしまった。
__..です。宜しくお願いします。
__..です。宜しくお願いします。
そんな何人かの声は途切れ途切れにしか
聞こえなくて、瞼は閉じていくばかり。
しまいにはいつのまにか紹介された皆の顔
さえも見ずに視線は皆の靴元まで下がって
しまっていた。
けれど、最後に紹介された人の声が
やけにどこか懐かしくて
少しだけ意識が戻る
ずっと側にいたような
そんな安心する聞き覚えのある声に
どこか違和感を覚えて
思わずパッと顔を上げると
まだはっきりとは見えない視界の中
教師にはにつかない綺麗な金髪が
揺れているのが見えた気がした。
でも、次の瞬間に最後に聞こえてきた
言葉が耳にハッキリと響いた時
突然に心臓の鼓動が
急にこれまでにないくらい速くなって
そして同時に視界が一気にクリアになって
その人物の顔がはっきりと分かった時
脳内でシンクロする二つの声に
思わず持っていた日誌を
地面へ落としてしまっていた。
__改めまして三山凌輝です。
宜しくお願いします。
_ _ _ _ごめん。俺たち今日で別れよう。
やっぱ本気になったなんて嘘。
俺は特定の人なんて作るのなんて初めから無理だった。
忘れたい苦い記憶が一気に蘇る。
もう。会う事なんて決してない
そう思っていた大好きだった彼との再会は
激しく私を動揺させたんだ。
.
86人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もなか | 作成日時:2021年12月11日 15時