検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:10,853 hit

*4.先生と生徒 ページ4

.

.

.

.

















『ちょっと気分転換にね、、というかダンス凄い上手だね!』

「なるほど。ここの空気美味しいですもんね。いや、そんな別に..全然ですけどありがとうございます。」

















彼からここへ来た理由を突然聞かれたものだから

彼を心配して来たなんて直接本人に言える訳もなく

適当に口から出た嘘をついてごまかす。



















ダンスの事を褒めればほんの一瞬だけ。

見たことのないような少し照れたように

はに噛んだ彼










だけれど、こちらに会釈を軽くすると

またいつもの大人っぽい彼に

すぐに戻ってしまった。













 












『ご飯ってもう食べたのかな??』

「あ..まだです。途中でした。さっきまで食べてたんですけど」

『誰かと..食べなくていいの?ほら教室とかでさ』

「もしかして、先生僕が1人でいる事とか心配してくれてます?まぁ、僕基本1人の方が楽っていうか、慣れてるんで大丈夫です。気にしないでもらえると助かります。」


















 

何気なく友達の話題に話を触れては

彼からの返事を恐る恐る待っていると

彼の返答に動揺を隠せなくて。














私の話を聞きながらベンチに腰を下ろした彼は

ベンチに置かれた食べかけのお弁当箱を

片手に取りはっきりと私の目を見てそう呟いた。











 





私が考えていた事なんて

彼にはまるっきりお見通しだったみたい。

けれど、逆に私も彼を見て気がかりな事、

彼の心が少しだけ見えたような気がして。








 





__僕基本1人の方が楽っていうか

__慣れてるんで大丈夫です
















そう発した彼の明らかにさっきより

低くなった声のトーンと

強い言葉とは裏腹に彼の綺麗な瞳は

どこかとても切なげで、苦しそうで。














一瞬だけ見えた少し微笑んだ笑みが

何か私が触れてはいけないような

そんなものを抱えている。









そう感じたのは決して

気のせいではないと思った。


















けれどまだこの時は、

見ず知らずの私があまり知らない彼の世界に

土足で入り込むなんて事は出来なくて













だからこれ以上その事について

問いかける事なんて事はそう簡単に

出来なかったんだ。













.

*5.先生と生徒→←*3.先生と生徒



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
86人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もなか | 作成日時:2021年12月11日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。