*17.先生と生徒 ページ17
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__え、今日三山先生お休みなんだって
__え、ほんとに?私お見舞いいこうかな
__だめよ。絶対彼女いるに決まってるでしょ
朝のいつもよりざわざわした職員室内
どうやら話は三山先生が体調不良で
休みという話題でいっぱいだった。
彼はこの学校に転勤してきた当初から
すぐ様女の先生からは特に
注目の的の存在になっていたから
まぁ、彼女達がこうなるのも当然だった。
付き合ってる彼女がいるだとか
そんな会話が繰り広げられる中
思わず、何故か聞き耳を立ててしまっている私
元恋人でまさか今もマンションの隣部屋に
住んでますなんて口が滑っても言えないと
冷や汗が募ると少し彼の事を
まだ心のどこかで気にかかりながら
仕事を再開した。
___
『私には関係ない。関係ない』
仕事が終わると着いたマンション
でも言葉とは裏腹に自分の部屋のドアノブを
目の前に手と足を止めてしまった。
視界に入ってくる隣の扉の目の前まで
近寄ると一呼吸する。
だけど
インターホンに手を伸ばした時
過去の事は忘れるといっても
沢山傷つけられた相手に
今更何をやってるのだろうという思い
一方で、彼に沢山借りがある身としては
正しい行動なのかという思い
頭をよぎる葛藤に押しつぶされる。
でも、モテる彼の事だから私じゃなくて
彼に寄り添ってくれる人はいるのではないか。
職員室での女の先生の言葉を思い出すと
そう思う方が1番正解な気がして。
結局インターホンを押す手を
そのまま降ろしてしまった。
__ごほっごほっ。
あれ、、こんなとこで突っ立ってどうした?
でも私が足を進めるより先に聞こえた声に
心臓が飛び跳ねる。
いつもとは違って少し鼻声で
振り返れば、マスクをしながら
片手にはビニール袋から
見えたお弁当を持った彼が
少しふらついた足つきと
とろんとした瞳で
私を驚いたように見つめるから
沢山今まで彼に助けられてきた事を思い出すと
そんな恩を忘れて辛そうな彼を見て
ここで引き下がるなんて事は
やっぱり簡単には出来なかった。
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作者名:もなか | 作成日時:2021年12月11日 15時