＊16.先生と生徒 ページ16
.
.
.
.
『黒田くん、何があったんだろって、、また考えてる』
テストが無事に終わった休日の朝、
家で余った仕事を片付けようとするが
この前の黒田くんの言葉が気になって仕方なくて
一向に仕事が進まない。
あまり干渉しすぎるのも良くないと分かりつつ
やっぱり気になってしまうのが本音だった。
別に彼を特別扱いしてる訳じゃないけど。
他の生徒と比べて目が離せないんだ。
結局、勉強を教える中で
はっきりとした何かの手がかりを見つけ出す事は
出来なかったけれど
一つだけ見つけられた唯一のものが
あの寝言のようでリアルなあの言葉と
あの苦しそうな彼の表情だったから余計に。
そんな中、私の心を打ち切るかのように
聞こえたインターホン
バタバタと小走りで玄関の扉を上げれば
目の前にいる人物にさっきよりも頭がこんがらがる。
身体が動かないとはまさにこの事だと思った。
__隣に引っ越してきた三山です
お洒落なカーディガンを着こなしては
教師に似つかない金髪が黒色になっていて
不覚にもドキリとしてしまった。
彼も目を見開いては動かなくて
2人して固まったまま暫く時間が経つと
先に口を開いたのは彼だった。
__まさか隣がAだなんて思わなかったから
ビックリしたっていうか、、
__これからよろしく
この前仲直りというか一様ギクシャクしたものを
私達はお互いに無くしたはずなのに
どう接していいか分からないのか
目をパチクリさせたり、目を泳がす彼を見て
私も同じ気持ちだった。
きっと彼の事だから過去に私にした事を
まだ引きずっているのだと感じて
半分嘘が混じる言葉を口にすると
今度はもっと目を見開いた彼が映る。
__普通に接してよ
__もう過去の事は気にしてないから
私に対して彼はもう好意はない。
彼に対して私も好意はない。
彼にされた事をいつまでも引きずってても
しょうがないし、彼はきちんと謝ってくれた。
彼に沢山の借りもある。
だから、教師、人としてまた互いに
新たな関係性のラインに立てばいい
そう思ったんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もなか | 作成日時：2021年12月11日 15時
