*14.先生と生徒(過去) ページ14
.
.
.
.
『あっ、、ちょっと待って..あの何で』
「んー何でだろう?分かんないけど、考えるよりも先に身体が勝手に動いてたからかな、ごめん。いきなりすぎたよね..それよりも身体大丈夫?」
『え、、』
腕を強く掴むとその勢いで彼の足は止まって
同時に私の足も止まった
あれからだいぶ走ったと思う
恐らく彼に見透かされているに違いない
けれど。彼はその間一言も私に話しかけてこなかった
きっとそれは私に起きた事に触れたらいけないと
彼の優しさなのではないかと思った
今だってあまり知らない私の
傷だらけの全身を見ると嫌な顔せずに
まるで自分が苦しそうなほどの顔つきで
こんなにも心配してくれてる
だけどなんで助けてくれたのだろう
それが不思議で堪らなかった
別に友達でも恋人でも親戚でもない。
それにDVDを彼に貸しているなんて
まるっきりの嘘なのに
住む世界が違う私をよりによって助けて
得な事なんてないだろう
どうしてそんな嘘までついて
私をあの場から連れ出してくれたのか
けれど混乱する私が彼の背中に尋ねれば
ゆっくりと振り返った彼は
不思議でもないかのように
平然とそう呟いたんだ
___じゃあ。後もうちょっとだけ
__俺についてきて
その後そんな声と共にハッと我に返ると
足を運んでいたのは道端ではなく駐輪場で。
同時にいつの間にか暖かくなった体内に
気付けば
身体を見ると彼が履いていた赤い靴は
私の裸足に履かされていて。
さっき彼が着ていた豹柄のコートまでも
しっかりと私の身体中にかかっていた。
靴とコートの事を口にするより前に
またいきなり引かれた腕に
今度は彼が出した自転車の後ろに
乗っている私がいた。
普通に考えたら遊び人と言われる彼についていくのは
危険な事かもしれない
それに私は彼の事をあまり知らない
だけど、この時は
どうしても真剣な彼がそう嘘なんてついてる
なんて不思議と思わなかったんだ
むしろ彼は唯一あの悪魔から私を
救い出してくれたヒーローだとそう感じた
.
86人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もなか | 作成日時:2021年12月11日 15時