▼おさななじみ_58 ページ9
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『あっこれねーっ、、開いたままだった！
っ、、気づいてくれてありがと！』
「、、、、」
机に置かれた開いたままの携帯を
勢いよく取るとバッと開いていた携帯を閉じた。
彼女のいるホシに何を焦っているのか分からないけれど。
ただミンギュくんとの関係を誤解されたくなくて。
開いたままの携帯を
気づいてくれてありがとうなんて
意味の分からない言葉が口からいっぱい出てきたんだ。
『、、じゃあ！早く髪乾かしてき__』
___何、、焦ってんだよ
さっきと同じようにまた今度こそはと
部屋から追い出そうとすれば
ホシの口からポツリと漏れた言葉は
聞いたこともないくらい低い声だった。
『え、、？』
「っ....ふっ、、何だよ、、
そんならしくない顔して。あーーお前ら__」
でも。
その言葉と低い声に固まって呆然としていれば
さっきとは打って変わって
今度は少し笑い始めるホシにびっくりする。
そのホシの感情というものは
何年も幼馴染をやってきている私でも
まったく読み取れなかった。
__もしかして付き合ってるとか？
__ミンギュって夏祭りの時の？
__なんだよーーそんなに隠す必要ある？
__幼馴染なのになーー俺ら。
呆然とした私を残して
面白おかしくちゃかすかのように
1人べらべらと次々に喋り出すホシ。
そんなホシを見ながら
何故か呆然と立つ事しか出来なくて。
何でか分からないけれど
思うように口が開かなくて付き合ってないと否定する事が出来なかった。
その
ホシから発せられた"幼馴染"という言葉に
きっと。否定した所で。
何も変わらないだろう。
そんな考えが頭に浮かんだからなのかもしれない。
少しでも私にチャンスが。
と思った私がバカだった。
やっぱりホシは最初から
私を"幼馴染"にしか見ていないのだ。
俯きながら溢れそうになる涙を我慢して
その後なんて言って追い出したかなんて
そんな事。もう覚えていなかった。
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作者名：もなか | 作成日時：2020年3月13日 17時
