わたしの歌ときみの声２ (ページ8)

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結局、その後学校に行くこともなく

いつの間にか高校生が終わっていた。

そんなんだから、成績なんてものはなくて

わたしには就職するしか道がなかった。

どうせ仕事をするなら好きなことをしたいから

音楽関係の仕事にしようと思った。

レコーディング関係

楽器職人

作詞家

作曲家

音楽教師

一口に『音楽関係の仕事』といっても、ジャンルは様々で

選ぶのはなかなか難しい。

それに加え、わたしは学歴が無いに等しい人間だから

ますます選べる職は限られていた。

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そんなある日の就活の帰りに

【夢のステージへ！歌手オーディション開催！！】

と、大きく書かれたチラシを見た。

『夢の、ステージ、、歌手………

これだっ！！！！！』

直感的に何かを感じ取ったわたしは

すぐにその場で応募した。

このときのわたしは、応募しただけで受かった気になっていた。

…というかまぁ、落ちる気がしてなかった。

オーディションに受かったら憧れの芸能界入り

テレビに出て、音楽番組で歌って、

バラエティーにも出てみたいな

"最近流行りの音楽"とかで特集されたりするのかな

芸名はどうしよう

【STONEROCK】とコラボできたりして…！！

…なーんて、夢は膨らむばかり。

お父さんが死んでから

楽しいことなんて何一つなかったけど、

やっと、生きていく意味を見つけられたような気がした。

なにか、

大好きだったお父さんと同じことを

したかっただけなんだと思うけど、ね

お父さんは〈バンドマン〉

わたしは〈歌手〉

これまたメディアが食いつきそうなネタだけど

そんなことはもうどうでも良かった。

わたしがお父さんの娘だということ

お父さんがすごいバンドマンだったことを

なんとかして、証明したかった。

消したくなかった。

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