善法寺伊作の段 ページ30
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善法寺side
ぼく達六年生は天女様の監視を命じられていた。
もちろん授業中は事務の小松田さん達が監視役を任されて、一日の終わりに学園長に天女様の報告をするようになっている。
昼は事務の仕事をして、朝餉夕餉は山本先生と共にしていたし
天女様が1人になる時間はとても短かったが、その時も特に怪しい動きはなかった。
文次郎たちは「なかなか尻尾を出さないな」と言っていたけれど、ぼくは今回の天女様は今までの天女様とは違うと思ってる。
10歳だからと油断しているのは確かだが
乱太郎達からお皿洗いを代わってもらったという話を聞いて、どうしても今までの天女様たちと比較してしまった。
今までの天女様達は「ガキは嫌いだ」と下級生に冷たくして
ぼく達上級生や土井先生には猫なで声で擦り寄ってきた
くノ一を悪者にして、ぼく達とくノ一の間に亀裂を入れることもあった。
『本当に良いんですか?忙しかったら私一人で行きますよ』
善法寺「いや、キミを信用してないわけではないけど
帰ってこなかったりしたら大変だからね
監視も兼ねて着いていくよ。」
ボクの言葉に『そうですか、ではよろしくお願いします』と天女様は頭を下げた。
監視という言葉を使ったのに嫌な顔ひとつしない…
自分がそういう立場だということをしっかりと理解しているのだろう。
今までの天女よりずっと若いのに、まるで大人のようだ。
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ようちゃん(プロフ) - 面白いです!続きまってます! (3月1日 14時) (レス) id: e74ec347f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かるた | 作成日時:2024年2月25日 16時