鬼課長な薮課長。

セクハラ疑惑 ページ14

伊【てなわけで、明日から俺もこの課の人間ね。】






んふふ、と女性らしい笑い方をして目を細める伊野尾さんに、少しキュン、としたのは内緒の話……。






伊【おっ、きゅんってした？？きゅん、した？？】







そっかあ、したかぁ……。って、また心読まれてる！






やっぱり、マダガスカル行ってた人は違うのかな……。







・





それは、ある日の午後でございます。





『……おい、新人。』






「…あの、その呼び方やめてもらっていいでs」






『うるさい、新人。は、や、く。』






資料を机にパシパシ、と叩きつけるようにしながら私を呼ぶ。







渋々、課長の机に駆けつければ、後頭部を掴まれて、ぐぐっとお互いの距離が近くなる。







『文句？』





「な、やめてくださ…」






近くなった距離に慌てふためくと、もっともっと私の後頭部を掴む手の力が強くなる。







「か、課長……」






八乙女くんも、伊野尾さんも、見てる。かもしれない。







目の前にいる課長は至って冷静で、抵抗する私にも全く反応を示さない。









「課長……、やめ…っ、」





八【薮、嫌がってる。】







資料を届けに来た八乙女くんが私の腕を引いて、助けてくれる。








「や、八乙女くん…！」







八【高野さん、大丈夫？薮、セクハラだよ、？】






やめなよ、って言いながら私を腕の中にすっぽりと包む八乙女くん。





あ、えっと……、近い…！！






「や、おとめくん。私は大丈夫。何もされてないから！」






さり気なく、するっと八乙女くんの腕をかわすと、そっか、って。







何だ、この空気感………。

初めまして、伊野尾です。→←まだ少し、なあの人。

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