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「でもね、そんなAちゃんからたまに聞こえる寂しい音
それはよく来るひとりの男の人に会った時に鳴ってるの
まるで辛い、苦しいって言ってるようなそんな音が俺は嫌いなの…」






その言葉に顔をしかめる
よく来る男って宇髄の事だろうか


てか音って、そんなことまで分かるのか
善逸耳良すぎるだろ





「俺だったらそんな辛い思いさせないよ
Aちゃんがずっと笑ってられるような、
そんな存在になりたいから

あとAちゃんはひとりじゃないよ
だから辛いことがあったらいつでも相談してね」





そう言うとシロツメクサの花冠を見せられた

いつの間に作ってたんだろう、?
上手な花かんむりだな




「頭に乗せてもいい?」




そう言われ
小さく頷いた




「かわいい、花嫁さんみたいだ、綺麗」




頭に花冠を乗せた時
ふと香る善逸の優しい匂い




『ありがとう…』




善逸ってどこまで優しいんだろう
その優しさに縋ってしまいたくなる

けれどそんなの彼を傷つけるだけなのもいわれなくても分かっている




『心配してくれてありがとう
でも大丈夫だよ
善逸の話聞いて私、元気出た』





だから私はそう答えた






「そっか、少しでも元気になれたなら俺嬉しい」

遅くなっちゃったし、そろそろ帰るね」




そう言い立ち上がる彼




『ありがとうね、話せてよかった』




「全然平気だよ、辛かったらいつでも相談してね

あっ、あとこれ団子代」






そう言い渡されたお金を受け取った




じゃあねと言い来た道を帰っていった善逸




『気をつけて…!』




遠くなる彼の姿を見ながら私が大きな声でそう言うと




「Aちゃーん、大好きだよーー!」




そんな声が聞こえた

彼らしいその言葉に自然と笑みが零れた




(Aちゃんはひとりじゃないから)







そんな言葉にとても救われた様な気がした
辛いけど進むしかないんだから、頑張ろう

善逸に渡された手の中のお金を握りしめ
そんなことを思った

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作者名:せどま | 作成日時:2020年11月18日 22時

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