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『…なんなの?』



私でもわかる明らかな女の匂いに顔を歪ませる


何処ぞの知らない女に触れた手で私に触んな





「…嘘じゃねぇよな?」




はぁ???
もうやめてくれよ本当に
めんどくせぇ



『何考えてんのかも何言ってんのかも理解できない』



それより



『その汚い手で私に触れないで反吐が出そう』

目の前の男から香る甘い匂いが嫌でつい言ってしまった言葉




私が発したその言葉に驚いた表情をした彼

その時に少し緩んだ手を振り払い全速力で家に向かって私は走った









…ほんとなんなのあの男
そんな汚い、汚れた手で私に触れんなよ
中途半端な感情のまま私に話しかけないで

あいつといると付き合った当初の事が頭に過ぎり苦しくなる








そう

結局わたしは強がっているだけ、

自分の気持ちを押し殺しているだけ、

何も思ってないなんて嘘。

本当は今でもあいつを見ると、話すと二人でいた昔の幸せな時間を思い出してとてつもなく寂しくなるし虚しくなる

そりゃそうだ私だって人間だもん、感情が無いわけじゃない





『ほんと、最低な男…』




こんな無駄な感情、惨めな自分、期待してしまう馬鹿な頭



次にあった時は今度こそちゃんと言ってやる。
私と別れてって
…いいや、別れろって言ってやろう

浮気してる奴なんかに今更許可なんて貰う必要ないだろう



こんな醜い自分はいやだ
微妙な距離にあいつがいるから辛いんだ。





目の奥があつくなり頬を伝うのは涙だった

そんな気持ちを押し殺すよう、私は夜道をただひたすらに走った

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作者名:せどま | 作成日時:2020年11月18日 22時

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