絡みついて離れない。【我妻善逸】

廿陸 ページ27

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彼はやはり男前だし女の扱いにも長けていたから当然もてている

騙す女の数は日に日に増えていく


しかし私にはだんだん冷たく当たるようになった

けれど私ときたら諦めもせず毎日毎日彼になんとかして好かれようと努力した


また優しくして欲しい、甘い言葉で微睡んでいたい、そんな一心でまた彼が好きじゃない尻尾振るだけの女に成り下がってしまう


それしか好いて貰う方法を知らないから






それにしてもそんなに誑かさておいて
何も色恋沙汰が起きない訳がない







一年後
嫉妬心に狂ったある一人の女が静司さんの屋敷に火をつけた







「っ...貴方！！！何故あんなことをしたの！？」




「ふふふっ、これで誠司さんはうちのもんやぁ
...何故あんな事をしたかって？そんなん」

「静司さんを永遠にうちの所有物にするためや」

「他の誰の女でもない。もちろん婚約者のあんたでもない。このうちのもんや。」




この女は狂っている

それ程までに女を狂わせてしまったのは自業自得でもある





「っ...静司さん...」




それでも私は悲しかった、けれど何処か心の隅で何かから解放されたかのような安心感も募っていた





その時幸いな事に地方に出かけていて屋敷にいなかった両親が駆けつけた時には屋敷は全焼していた





「っ！？なんでや！？なんで静司さんの死体がないん？！」






その場に崩れ落ちる女

火を消すのに人がわらわら集まった時にはもう忽然と姿を消していた



しかしその女は捕まり放火した犯人だということが死刑となった






それからというもの

愛だの恋だのどうでも良くなり
私の心は歪みに歪んで仕舞いには善逸くんを騙すことでこの心重みを打ち消そうとした





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