黙って俺に愛されてなよ。【我妻善逸】

拾参 ページ14

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「っ...はぁ...はぁ...」





何だろう
凄い悪夢を見ていた気がする


最後に覚えていることは鬼と男女の姿が重なって何だか嫌な記憶が蘇ったって事だけだ




あれは本当に私の記憶なの...？






「急に倒れるからビックリしたんだよ？」

「す、すみません」

「いや大丈夫だけどね
うなされていたけど大丈夫？」

「はい、もう落ち着きました...」





心配しているような表情をしているが何だか薄っぺらで冷たい表情のようにも見える

感情がないみたい





陽だまりのような暖かい彼とは真逆の
冷たい氷のような鬼だ





ふと視界の隅に人が血塗れになって倒れている
恐らく喰われたのだろう


とっても気持ちが悪い...

嗚咽が漏れる





「あ、もしかしてあれかい？」


平然とした顔で俺は指差す




「ごめんごめん、今片付けるよ」


鬼が扇で風を吹かすと綿のように飛んでいった

飛び散っていた血も綺麗になくなる




善逸さんは私に決して人間を喰らう所を見せようとしなかったからその刺激はとても強いものだった


善逸さんもああやって喰べてるのかな...

少し胸がモヤモヤする




いや、鬼なんだから当たり前だ

そう思っていてもモヤモヤは収まらない





「教祖様、新しく信者が入信致しました。
通しても宜しいでしょうか。」

「是非とも入ってもらっておくれ。」



扉の向こうから信者の方の声がすると
鬼は大きな帽子を被り笑顔で許可を下す

私はここにいてもいいのかな...





「まだしんどいだろう？
寝ていていいからね。」



こくっと頷き私は布団に顔をうずくめた





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