黙って俺に愛されてなよ。【我妻善逸】

伍 ページ6

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「...無防備に寝てるなぁ」




帰ってくるとAちゃんはぐっすりと寝ていた

きっと昨日の夜は鬼の俺がいてゆっくり睡眠をとれなかったのだろう





俺はそっと彼女を抱き上げ布団へと運ぶ





寝顔もやっぱり可愛い...
綺麗な髪をそっととぎ頭を撫でる
慎重に、優しく


人間は弱くて脆い





人間だったときの記憶が頭によぎる



...っ、俺はAちゃんを幸せにするって決めたんだ

弱気になるな、最後まで守らなくちゃ





「んっ...」



手が耳に触れくすぐったかったのかAちゃんはなんとも色っぽい声をあげた





そんな声に度肝を抜かれた俺は思わず
両手で顔を覆い隠した




「もうやだこの子
無自覚でこの色気とか...」





そういえばよく男の人に好かれてたからなぁ

胸の辺りがもやっとする



俺が記憶を消したからAちゃんは覚えていないし
まぁいいか





今彼女が起きれば怯えるだろうか

記憶を消した、と改めて意識する





...忘れられてんのも辛いなぁ




けど彼女を幸せにするには不可欠な事だ




仕方ないと思い俺は撫でていた手を名残惜しそうにゆっくりと離そうとする






「..っ、や！！離さないで...」




びくっと体が震える

彼女の方を見るがどうやらまだ寝ている
寝言のようだ




...悪い夢でも見ているのかな

鼓動が早く、恐怖しているような音だ





「...大丈夫、俺がいるから」

「ずっと一緒だよ」





俺は耐えきれずAちゃんを抱き締める
またAちゃんも俺の背中に手を回しぎゅとした


離さないでと言うように





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