逆鱗に触れた。【我妻善逸】 (ページ18)

今日:4 hit、昨日:139 hit、合計:1,291,954 hit

拾漆ページ18

.

「昨日のあの着物着て見せて？」

少しの間だけでもあの着物着せて浅草をでーとして
昨日を塗りつぶす予定だ

そうでもしないと嫉妬心で押し潰されそうだった
昨日のでーとの光景が頭によぎる

Aはきょとんとした顔でこちらを見る

あぁくそ可愛い

「いいけど...今ここで？」

「うん」

「え！？....わ、わかった！」

少し躊躇い気味な彼女に俺は即答する
そして少しの苛立ちが募った

あの柱の子には躊躇なく来ていくくせに俺には躊躇うのかよ！！！

するといきなりAが羽織りを脱ぎ始めた

「ちょ！？え！？」

確かに着替えてとは言ったけど普通男の目の前で着替える！？

そんなことをされて余裕をもてるほど俺は大人じゃない
俺は慌てて目を隠し視界を遮る

「？、だってあの着物に着替えてって」

...無防備すぎる

「っ、...あぁもう」

「なら一言出てって言えばいいじゃん！」

「男の前で脱ぐなんて」

俺はAに男の怖さを教え込むため
近づき、腰元からAを引き寄せる

「狼の目の前に兎を差し出すのと同じだから」

「...それともわざとやってる？
脱がして欲しいの？」

そこから先をするつもりもないのに俺はAの服を少しはだけさせる

Aの方を伺うと

「...っ、拒まないの？」

特に嫌がる様子もなく頬を赤く染めただ何かを欲するかのような顔でこちらを見つめる

...他の男だったらどうしてたんだよ

いや、俺以外だったとしてもAは優しいし無垢だから拒まなかったはずだ

俺も他の男達も同じ好きなんだから

「はぁ...」

「どうしたら特別になれるんだろ」

聞かれないよう小さく呟く

「やっぱいいや。」

「稽古終わったら迎えに行くね」

つい最近までは考えられない発言
慣れないけど他の男のものになるよりましだ

俺は稽古をしに行く途中も
ずっとAでいっぱいだった

『善逸は私が好きなの？』

『禰豆子ちゃんが好きなんじゃないの？』

さっきの質問が頭によぎる

好きじゃないやつに接吻なんてしねーよ！！

鈍感さにもどかしさを感じる

禰豆子ちゃんも好きだけどそれは恋愛対象としてではない、家族愛に似たものだ

Aは一生を添い遂げたいほど
愛しいんだ

.