story7 ページ10
島に上陸すると、辺りはほぼ暗くAにとってほとんど何も見えない状態だった。
オウニは"ウイジゴケ"と呼ばれる発行生物を浮かばせ、Aの手を引きながら徐々に島を進んでいく。
チャクロとリコスもその後ろを付いて行く。
人がいた島に着いたというのにAは期待で胸をいっぱいにするどころか、上陸した時から何ともいえない不安に駆られていた。
____島には気配も音もない静寂に包まれていたからだ。
・
「これが、外の人間が住んでいた島?」
ある場所に辿り着くとオウニはAの手を離し、目の前の光景に目を見張る。
そこには所々欠けており、風化したような廃墟が広がっていた。
先程と同じく、周りには何も気配が無いことをAは確認する。
「オウニ、此処って・・・」
「・・・どういう事だ。コレがお前らの外の世界だって言うのかよ!」
オウニは目の当たりにした光景に期待を裏切られたような感覚となって苛立ち、リコスの胸倉を掴む。
リコスは表情を変えないまま、オウニを見据える。
「オウニ、やめろ!・・オウニ!」
「オウニ、気持ちは分かるけど落ち着いて」
チャクロとAが慌てて止めに入ると、オウニは胸倉を掴む手を引く。
リコスから離れたオウニは鋭い目つきのままだった。
「貴方達は、本当に何も知らないのね・・」
静かにそう告げるリコスはどこかへ案内するように歩き出し、チャクロ達はその後をついていく。
・
紅色の夕日に照らされたある場所へ着き、四人は立ち止まった。
Aは目の前の光景をチャクロに聞くとそこには荒れ果てた一つの建物と周りには不自然に盛り上がったいくつもの土の山と剣が突き刺さっているようだ。
「何だこれは」
「_お墓よ」
予想もしなかった答えにチャクロは驚き、Aは息を呑む。
(今、目の前に沢山の人のお墓が?)
急に背中を何か冷たい空気が走ったような気がし、Aは思わずオウニの服の裾を掴む。
その様子に気がつき、オウニはAの手を握る力を強める。
「これを君が一人で送ったの?」
チャクロの問いにリコスは答えることなく、チャクロの顔を見るとまた目の前の墓地をただ見つめる。
お墓の中には剣だけでなく、小さな人形が供えられている物まであった。
一体どれくらいの歳の者まで埋葬されているの今となって検討もつかない。
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雑草(プロフ) - 突然すみません。この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2018年1月2日 0時) (レス) id: 623fd5650b (このIDを非表示/違反報告)
巴衛新月 - はわわわ…オウニかっこいい!ニビ,夢主ちゃんのこと好きなのか!? (2017年12月13日 17時) (レス) id: 17b6508236 (このIDを非表示/違反報告)
laststar - オウニかっこよすぎるー!個人的にはニビも好きだからこの小説すごい好きー! (2017年12月8日 22時) (レス) id: ba47909489 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - ヤバい、オウニ君イケメン! (2017年12月8日 7時) (レス) id: 1d6bbddaab (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - 更新されててテンションすごい上がりました。これからも頑張ってください。 (2017年12月5日 18時) (レス) id: 2d65d5b3aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rio | 作成日時:2017年11月11日 17時