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story8 ページ11

「これを淡々と一人でやったってのかよ・・・魔女だな」



目の前にいる一人の少女がいくつもの墓を作ったという事実にオウニは冷たく言い放つ。


Aはオウニの後ろで暗い表情を浮かべ、ただぼやけた光景を見つめることしかできなかった。



「ッ・・・・」



チャクロは死者の墓の多さに力が抜けへたり込む。


そして、泥クジラで行う砂葬の時のように指を組み目の前に埋葬されている何人もの死者に対してお祈りをする。


リコスは無表情のまま墓の間を抜け、墓地の中心の建物へと向かい歩き出した。


三人は少女に導かれるままについていく。











建物の中は暗く、長い道が続いていた。



(ここも砂で造られてるのかな・・・)


「きゃ!」



考え事をしていると、手を引かれているにもかかわらず、Aはつまずき転びそうになるが、オウニが身体を受け止めた。



「大丈夫か?」


「う、うん。ありがと」



チャクロは慌てて二人に駆け寄った。



「A、やっぱり暗い場所は」


「チャクロ・・・やっぱり初めてくる場所だとこうなっちゃうね。あはは」



笑顔を見せるAであるが、内心は不安な感情で沢山である。


僅かな灯りや音を頼りに移動できる泥クジラと違い、この場所は音もなく光はオウニが浮かばせるウイジゴケしかない状態だ。



「・・・あなた、目が見えないの?」



リコスからの言葉にAは驚き顔を上げた。



「あ、ううん。見えないわけじゃないの。ただ、昔から目の前の物がぼやけて見えるだけで・・・」


「・・・・・」



リコスは黙り込み、Aをじっと見つめるが、何事もなかったかのように振り返りまた歩きだした。


そんな様子にAはただ疑問を浮かべるだけだった。



「A、そのままでいろ」


「え、オウニ?・・・って、わっ!」



突然、Aの身体をオウニは器用に軽々と抱える。


その事にAは慌てて降ろすように促す。



「オ、オウニ。私、歩けるよ!」


「こっちの方が早く進む・・・お前もこっちが安心だろ」


「ど、どういうこと?」


「・・・・」



オウニは黙り込みそのまま歩き出す。


言葉の意味が分からなく、Aはそのまま身を預ける。


























自分が僅かに震えている事に気がついていないAに気がつき、オウニはその震えが止まるまでずっとAを離さなかったのだった。

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雑草(プロフ) - 突然すみません。この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2018年1月2日 0時) (レス) id: 623fd5650b (このIDを非表示/違反報告)
巴衛新月 - はわわわ…オウニかっこいい!ニビ,夢主ちゃんのこと好きなのか!? (2017年12月13日 17時) (レス) id: 17b6508236 (このIDを非表示/違反報告)
laststar - オウニかっこよすぎるー!個人的にはニビも好きだからこの小説すごい好きー! (2017年12月8日 22時) (レス) id: ba47909489 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - ヤバい、オウニ君イケメン! (2017年12月8日 7時) (レス) id: 1d6bbddaab (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - 更新されててテンションすごい上がりました。これからも頑張ってください。 (2017年12月5日 18時) (レス) id: 2d65d5b3aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rio | 作成日時:2017年11月11日 17時

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