これからの誰かのために 2

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伊野尾side





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《ただいまより、QT延長症候群新治験薬ガイドライン改定式を行います。開発担当の伊野尾教授、こちらへお願いします…》





伊「はい。開発担当の伊野尾と申します。今回の治験が成功し、正式にこの新薬をQT延長症候群の患者に投与できる……」






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あれから数年が経った



涼介の担当医を離れてから、治験開発の責任者になり研究を行ってきた


患者を苦しませずに安心して受けられるように、それを第一に考えながら、何度も何度も研究を繰り返し、ついにQT延長症候群の新薬を完成させ、合法的に認められた






新薬を作れたのは、紛れもなくたった一人の俺の患者である涼介のおかげ



きっと涼介の担当医にならなかったら、ただひたすらに感情を殺し、時には患者を苦しめることしか出来ない治験研究しか出来なかった



涼介に出会ったからこそ、作れた薬である








涼「いのちゃんすごいね、ノーベル賞貰っちゃうなんて」


伊「いや、俺はこんな賞を貰いたいためにやってきたわけじゃねー。それより手を動かす」


涼「はいは〜い！」





あれから数年も経てば、涼介も小児を卒業するどころか、今は一緒に働いている

研究者として









「俺も、これからの誰かのために役に立ちたいんだ」




涼介が小学生で、俺がまだ涼介担当医の時に言っていた言葉




涼介はその言葉通り治験を何度も受け、小児を卒業した




そして20歳になった今は、薬科大学に通いながら、たまにこうして研修として俺と一緒に治験の研究をしている






涼「そう言えば侑李と今度飯行くんだよね〜」

伊「侑李忙しいって言ってなかった？」

涼「なんかやっと試験が終わったらしいよ」

伊「ほぇ〜すげーな」





それから侑李は、医者になるため医大に通っており、さらにはその頭の良さから飛び級しているらしい



涼「大ちゃんは暇そうだからいつでも誘えるし」

伊「んなこと言ってやるなよ笑」

涼「ははっ笑」





大貴は、まさかの天文学者を目指している


きっかけは涼介があげた星のキーホルダー






あの日の、『みんなでお出かけする』という約束はだいぶ前に叶ったんだ



って言っても侑李が小児を卒業する頃に



みんな少しずつ体調管理が出来るようになって、外出許可が降りた時、薮と光と俺と、侑李と大貴と涼介


それから新しい担当医の永瀬先生と院内学級の裕翔先生、何故か高木も一緒に、みんなでプラネタリウムに行ったんだっけ

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