伊野尾side ページ42
.
…涼介の寝顔を見ていると分からなくなる
あの時の罪悪感から涼介の担当医を続けているだけであって、
決して医者として涼介を救いたい
そういう訳ではないのに…
そういう訳ではなかったのに…
涼「いの、ちゃ…」
眠りながら俺の名前を呼ぶお前を見ていると、
俺はお前を突き放そうとしているのに、俺の名前を呼ぶお前を見ていると…
助けたい、そう思ってしまう自分がいる
伊「…それだけはダメ、なのに…」
俺は研究者であって、涼介はただの実験台
患者の気持ちなんていちいち考えていたら、俺はいつか治験を躊躇ってしまいそうで…
心を強く持たなきゃいけないのに
感情移入なんてしちゃいけないのに…
伊「…っわかんね…よ…」
強く…
もっと強くならなきゃ…
研究者として、医者として
もっと強い心を持たなきゃ
.
涼「いのちゃっ…ﾊｧﾊｧ…」
伊「もう目覚めたか？これからもっと副作用が強くなる。寝れる時に寝とけ」
副作用の時間は、およそ12時間
薬を投与してからまだ1時間も経ってない
辛いのはここからだ
涼「あた、ま…いたいっ」
伊「これ以上緩和することはできない、耐えろ」
涼「…っうぅ…ﾊｧ…ﾊｧ…」
頭痛で苦しいかもしれないけど、発作を起こして死ぬよりはマシだ
逆に言えば、この薬を投与しなかったらまた発作を起こして生死を彷徨いかねない
…仕方の無いこと
涼「…いっ…のちゃ……痛いっ…」
伊「……」
これ以上なんて声をかけていいか分からない
…かける言葉が見つからない
涼「いのちゃ…っ…ﾊｧ…ﾊｧ…うぅ…」
どうしたらいいか分からない、けど
痛がり藻掻く涼介の布団の上からポンポンと軽くたたいてやる
涼「…うっ…いのちゃん…いたっ…」
伊「……っ…」
それでも痛がり苦しそうな涼介に、これ以上どうしていいか分からなかった俺は…
伊「…今、薮と変わるから」
内線で医局に繋げ、薮に代わってもらうことにした
ｶﾞﾗﾗﾗ
薮「涼介！大丈夫か？…辛いなぁ、もう少しで良くなるからな？もうちょっとがんばろーな」
薮はすぐに来てくれて、頭を撫でながら優しい言葉を掛ける
…やっぱり俺にはそんなことできない
薮に助けを求めその場に居ずらくなった俺は、そっと離れ医局に戻ることにした
去り際、
「…いのちゃん、行かないで」
という涼介の言葉は聞こえなかった
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めおん♪(プロフ) - koukiさん» 教えていただきありがとうございます！ですが、どうしたらいいのかわからないので、そのままで大丈夫です！もし真似されていたとしたら、このお話を読んでいいなと思ってくれたからという気持ちでいます！( ；ᵕ； ) (2022年8月28日 21時) (
レス) id: e177312160 (このIDを非表示/違反報告)
kouki - コメント失礼します。この小説、とても面白くて読んでいたのですがプリ小説というサイトですごくそっくりなお話を見つけました。一応お知らせさせて頂きます。 (2022年7月25日 22時) (レス) @page34 id: 467e49a5da (このIDを非表示/違反報告)
ばどらぶ(プロフ) - 36ページですが、3人で12個のケーキを分けると、1人4個ではないでしょうか？ (2021年8月23日 21時) (レス) id: cc32400ee4 (このIDを非表示/違反報告)
Koupen(プロフ) - 9月ごろ戻れるとか言ったのに遅くなりました...!!!!!もうすごくお話進んでてびっくりです笑 これからも読んでいきます！！(謎の報告 (2020年10月8日 21時) (レス) id: f79358959f (このIDを非表示/違反報告)
めおん♪(プロフ) - ももさん» とっても嬉しいコメントありがとうございます！！そう言っていただけるとほんとに幸せです！これからも頑張ります！ (2020年8月25日 10時) (レス) id: e177312160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めおん♪
| 作成日時：2020年7月25日 10時
