勿忘草

山田side ページ44

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8時間にも及ぶ、長い長い手術は無事に終わり、



慧は本当に頑張って乗り切ってくれた









山「よく頑張ったねっ…良かった、良かったよ…慧」








ゆっくりと目を覚ました慧を抱きしめる







慧「……あり、がとう…」





山「こちらこそ、頑張ってくれてありがとう」









本当によく頑張った





まだ幼稚園の時に、心臓に腫瘍が見つかり病院に運ばれてきた慧



良性のため、腫瘍はいくらか手術で取り除けたものの、全部は取り除けなかった







あとは、予後不良




つまり、死を待つだけ







両親は事故で亡くなり、一人で辛いのに、病院でも丁寧には扱われず、天涯孤独だった






それでも治療や発作に耐え、ここまで頑張ってきたんだ






最後の手術も、「約束」をして、頑張ってくれた






本当によく頑張ったね









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そして…









あれから1週間、術後の経過を見て、ついに退院日が決まった









慧「退院、できるんだ…」








退院日を伝えた時に、慧は第一声にそう言った







嬉しい気持ちと、不安な気持ちで複雑なのかもしれない







念願の学校にだって通えるし、リハビリさえ頑張れば運動も出来るようになる









けれど、退院しても行く場所のない慧は施設に入ることになった







それに対しての不安と、退院しても1人で生きていくことへの不安とで、慧の中で葛藤していた









そんな慧を支えてくれたのは、医者や看護師でもなく、俺でもなく、







…大ちゃんだった









手術後、手紙を書けるようになった慧はさっそく大ちゃんに返事をした








手術を頑張ったこと、退院できるようになったこと









“おめでとう！本当に良かったよ！”




“いのちゃんにはこれから沢山楽しいことが待ってるから。今は不安でも、絶対に幸せな未来が待ってるから。”









手紙に書かれた大ちゃんの言葉は、どれも慧を励ますものばかりで、







慧に外の世界を教えてくれた大ちゃんは、慧にとっての1番の支えだった









その手紙のおかげで、慧も笑顔になれたんだ

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