勿忘草

慧side ページ15

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身体が重くて熱い

それから息が苦しい



ぼんやりとする頭でも、すぐにそれが自分から発せられてる熱のせいだと分かる




慧「…っ…ﾊｧﾊｧ…んっ…」


山「慧君？おはよう、ちょっと辛いね、大丈夫だからね」




どこからか声が聞こえる気がして重い瞼を開ける

目を開ければ視界はぼやけていて誰か分からないが、その優しい声にどこか安心する



山「今日はずっと一緒にいるからね」



誰かに頭を撫でられ胸をさすってもらっていることにぼんやりと気づく



鼻から流れる酸素のおかげなのか、少しずつ呼吸が楽になってきて、また眠気が襲ってくる



いや、

楽に感じたのは、頭に残る手の感触と、苦しい場所をさすってくれる掌のおかげかもしれない



そのまま眠気に逆らえず、ゆっくりと瞼を閉じた。








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どのくらい経ったのか、目を覚ませば幾分か身体が楽になっている

体調が悪い時は、生きてるのか死んでるのか分からなくなる

それを確かめるために布団からゆっくりと手を出して、自分の手のひらを見つめていると、その手は、誰かの手に包まれた



山「目覚めた？熱下がってきたね、良かった」


声のするほうを向けば、新しい担当医がニッコリと微笑んだ顔が見えた


「ずっと一緒にいるからね」

確か眠る前に、優しい声でそう聞こえた気がする

…この先生だったのか



山「解熱剤入れたから熱は下がってきたけど、まだ横になっててね」



幾ら身体が楽になったとはいえ、すぐに身体を起こせる力は無いので大人しくそのままでいる


チラッと時計を見ればもう15時を指していて、おやつの時間じゃん
なんて呑気な自分がいる


あれ、待って

15時…

もしかしてずっとこの先生は付き添ってくれてたの？


今までの担当医は俺が体調を崩しても、医療的な仕事をするだけで、俺が寝ている間傍にいることなんてなかったのに…

…なんで？



不思議に思って見ていれば、ソイツと目が合った


山「どした…？苦しい？大丈夫？何かあったら言ってね」


そう言ってまた頭を撫でてくれたんだ

高木以外で俺の頭を撫でるやつなんて居なくて、新鮮な感じがする

でも、嫌な感じはしない
寧ろ、その暖かい手に安心する自分がいる


この先生は本当に良い人なのかもしれない

病気を相手にする‘’医者”じゃなくて、俺自身を見てくれる助けてくれる人なのかもしれない





慧「……名前…なに？」


熱のせいか、気づいたら名前を聞いていた

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