アイノユウヒ2〜family Love〜

涼介side ページ21

涼「慧っ！」



お昼休憩の後、そのまま居眠りをしていたら四限の移動教室の時にみんなに置いていかれた

クソっ侑李まで置いていきやがったな

なんて思いながら早足で移動してれば、前方から走ってくる慧の姿が見えた

呼んだのに気づいていない、その顔はどこか曇っていて俺は慧を引き止めた



慧「へっ…な、んで涼介がいんの？」

涼「これから移動教室なんだよ、それより今は授業中じゃないの？なんで慧いるの？……なんで泣いてるの？」


やっと俺に気づいて顔をあげた慧は涙を流していて…


涼「…だれ……誰が慧を泣かしたの？」


自分でもびっくりするくらい低い声がでた。

慧を泣かせたのは誰？
なんで慧を泣かせたの？


慧「…なんでも、ないっ！」

涼「あ慧！ちょっと！退院したばっかだから走っちゃダメだよ！！…もうっ！」


俺の手を振りほどいてまた走り出す慧を追いかけてまた捕まえる

退院したばかりなのに走ったらまた発作を起こしてしまう…


今度は離さないように力を込める



慧「…ﾊｱﾊｱ…離せっ…ﾊｱ…」

涼「ちょっと！その身体でどこ行くんだよ！」

慧「お前まで…ﾊｧﾊｧ…んなこと…言うなっ！」

涼「っ！！」

慧「…っうわっ、お前っ！」



走ったせいで息がだいぶ切れている
身体もフラフラしてるし…

心配になった俺は慧の身体を持ち上げてそのまま保健室へと連れていく

慧の方が身長は高いけど、軽すぎるからね、簡単に抱っこできる

チラッと慧の顔を見れば、さっき拭っていた涙がまた溢れていた


涼「……泣かないで、慧…」




ｶﾞﾗﾗﾗ

慧の涙を拭って保健室に入ればすぐに圭人が対応してくれた


圭「涼介？…と慧！？大丈夫、どうしたの？」

涼「わかんないっ…でも、泣いてるから…」

圭「ちょっと測ろうか、今日退院したんでしょ？」


圭人が測ってくれた測定器の数値を見ればいつもより低い


涼「これ食べとこ？」


ブドウ糖を渡しても受け取ってくれなくて

涼「じゃあこれは？」


ラムネなら食べてくれるかと思えば、膝を抱えて顔を伏せてしまった

退院してきたばかりで体調は安定してない、このままじゃまた低血糖を起こしちゃう…


圭「慧、どうした？」


圭人が慧の隣に寄り添って優しく声をかける


慧「……もう…嫌だ…」



本当に本当に小さな声

普段病気の弱音を吐かない慧が、治療を拒否するなんて…



本当に何があったの？



ｶﾞﾗﾗﾗ

玉「慧！」

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