慧side ページ20
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教室を飛び出し、走り出した俺は何も考えずにただひたすら走った
なんで走ってるのかなんて分からないけど、立ち止まったら色々考えてしまいそうだから、むしゃくしゃに走った
のに…
涼「慧っ!」
腕を掴まれ引き止められた、涼介に
慧「へっ…な、んで涼介がいんの?」
涼「これから移動教室なんだよ、それより今は授業中じゃないの?なんで慧いるの?……なんで泣いてるの?」
不安そうな顔でそう言う涼介
俺、泣いてんの…?
言われるまで気が付かなかったけど、手で目元を拭うと確かに濡れていた
涼「…だれ……誰が慧を泣かしたの?」
聞いた事のないような涼介の低い声
だめだ、これ以上涼介に心配かけたくない
それにさっきの教室でのことバレたくない
慧「…なんでも、ないっ!」
涼介の手を振りほどいてまた走る
涼「あ慧!ちょっと!退院したばっかだから走っちゃダメだよ!!…もうっ!」
普段運動してない俺と、毎日部活で走ってる涼介だったらもちろん涼介の方が早いわけで、あっという間に捕まった
慧「…ハアハア…離せっ…ハア…」
涼「ちょっと!その身体でどこ行くんだよ!」
慧「お前まで…ハァハァ…んなこと…言うなっ!」
涼「っ!!」
慧「…っうわっ、お前っ!」
体力の無い俺は、もう一度捕まった腕を振り解ける訳もなく、呆気なく身体を持ち上げられる
…そんな身体…
分かってるよ、俺がみんなより弱いことも、注射しないと生きていけないことも…
でもっ、どうしても、みんなと対等でいたいんだ…
周りの人に理解なんてしてもらわなくていい、馬鹿にされるくらいなら、誰にも知られずに隠し通したかった
涼「……泣かないで、慧…」
弟に心配されるのも嫌だ…
こんな身体が弱い兄でごめんなさい、迷惑かけてごめんなさい
ガラララ
圭「涼介?…と慧!?大丈夫、どうしたの?」
涼「わかんないっ…でも、泣いてるから…」
涼介は俺をソファに下ろしてくれた
圭「ちょっと測ろうか、今日退院したんでしょ?」
裕翔と連絡を取り合ってる圭人は俺の情報もすぐに伝わる
保健室に常備してある測定器で血糖値を測れば少し低くなってる数値
涼「これ食べとこ?」
涼介に渡されるブドウ糖
でも今は受け取れる気にもならなくて…
涼「じゃあこれは?」
なかなか受け取らない俺に、今度はラムネを出してくれた
それでも今は“お前は病気なんだ”って言われてるような気がして、全てを拒否したくなった
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めおん♪(プロフ) - マさん» コメントありがとうございます!感想頂けてとても嬉しいです!是非他の作品も見てみてください! (2020年7月10日 8時) (レス) id: e177312160 (このIDを非表示/違反報告)
マ(プロフ) - はじめまして。気になって読んでみたら、とても感動してしまって、今でも涙がとまりません。すごく感動するお話ありがとうございました。まだ、気になる作品たくさんあるので少しずつ読んでいこうと思います!! (2020年7月10日 1時) (レス) id: 95edc8c60d (このIDを非表示/違反報告)
めおん♪(プロフ) - ぽむさん» ありがとうございます!!歌詞に気づいて下さってとても嬉しいです!ご拝読頂きありがとうございました! (2020年6月6日 9時) (レス) id: e177312160 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ - 完結おめでとうございます!!更新頻度が高くてお話も面白くていつも楽しみにしていました!エピローグで歌詞が出てきた時、鳥肌がたちました笑 楽しい小説をありがとうございました! (2020年6月6日 7時) (レス) id: 5b2251d1f0 (このIDを非表示/違反報告)
めおん♪(プロフ) - musicmans5962さん» わぁ〜!嬉しいコメントありがとうございます!次回作も頑張ります! (2020年6月3日 23時) (レス) id: e177312160 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めおん♪ | 作成日時:2020年5月18日 10時