〜Blue〜やまいの短編集

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山田side





山「そういうわけだから、本当の医者ほどは無理だけど、病院行くよりマシでしょ？早く帰るよ」


え、え、
とテンパる伊野尾ちゃんの腕に手を入れ、支えながら駐車場へと行く

くっついてる身体からはじんわりと体温が感じられる
…熱も出てきたのか


そう、俺はカウンセラーの資格を取ったすぐ後、伊野尾ちゃんが体調を崩すことが増え、そのことも心配になった俺は看護資格も同時に取ろうとした

結果は、仕事ととの両立が難しく資格は取れなかったけど、それ以上の勉強はした

この勉強嫌いの俺がここまで頑張ったのだから誰か褒めて欲しい



でもそれくらい伊野尾ちゃんが大切なんだ



山「はい、着いたよ。家まで我慢してね」



伊野尾ちゃんをお姫様抱っこして家の中へと運ぶ

「恥ずかしいから降ろせ」とでも言っているんだろうけど、喉が痛いからなのか声は出ていない


部屋まで連れていきベッドにゆっくり降ろす
目がトロンとしていてほっぺは少し紅い




山「じゃあ診察するよ？」

伊「…なんかエ ロい」



こんな状況の時まで頭は中2男子みたいな伊野尾ちゃん
とりあえず放っておいて、俺は伊野尾ちゃんの身体を少し起こして体温計をワキに挟む



山「あーってして？」

伊「…あー」


口をあけてもらって見れば素人でも分かるくらい赤い喉


山「うわ、真っ赤だね、痛そう」



同時にピピッと鳴った体温計を脇から抜けば数字は38.1度と表していた



山「熱も上がってるね…息苦しくない？」

伊「…少し？」

山「胸の音聞かせて？」



伊野尾ちゃんの胸に耳を当てれば、酸素を吸ってる呼吸音と共に、微かに聞こえる喘鳴



山「少しヒューヒュー言ってるね、たぶん風邪だけど、喘息にならないように早めに薬飲んどこ」




この間の喘息の時の残りの薬と水を持ってきて、伊野尾ちゃんに飲ませる


薬のせいで眠くなったのか、さらにぽわんとする伊野尾ちゃん

背中にクッションを入れて呼吸をしやすくして、胸あたりをさすってあげると、割とすぐに寝息を立て始めた


良かった、寝れて

汗で張り付いた前髪をすいてあげる



伊野尾ちゃんが少しでも楽になってくれたらいいな

医学を学ぼうと思った最初の本当のきっかけは、小さい時、病気の妹のために独学で少しずつ学んでいたこと


それが伊野尾ちゃんのきっかけで、今度はちゃんと勉強したいと思った


伊野尾ちゃんの助けになりたいって



少しは役にたったかな？




山「早く良くなってね」






fin

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