笑わない華 ＊ 4 ページ6
＊
｢……野坂くん、これ、どういう……って、いない。｣
何故、私をこの2人に合わせようとしたのか。
それを聞こうとしたら、野坂くんは西蔭くんを連れて何処かへ消えてしまっていた。
居なくなってしまったものは仕方がない……と思い、もう1度2人の方へ向きを変える。
そこでは、先程自己紹介をしてくれた2人が楽しそうに会話をしていた。
まどかちゃん……円堂まどか。
元雷門サッカー部のマネージャーで、今はサッカー部のある学校を回ってデータを集めたり練習のメニューを一緒に考えたり……と、忙しく全国を動き回っているらしい。
弱小だった雷門サッカー部を日本一にまで引っ張ったあの円堂守の妹。
オレンジのリボンが何処となく円堂守を想像させる。
後は……目元くらいかな、似てるのは。
悠音ちゃん……赤城悠音。
私が知らない学校に通っていて、サッカー部もないためサッカーには関わっていないらしい。
そして、私がよく知っている野坂くんの生き別れの姉、らしい。
野坂くんをそのまま女の子にしたかのような見た目をしている。
まどかちゃんは嬉しそうにニコニコと私に話しかけ続けていて、悠音さんはそれを制しながらも私がどう出るかを見ているようで。
暫く話していて分かったのは、そんなところだった。
｢それでそれで！ユズキちゃんも行くんでしょ！｣
｢丁度時間にもピッタリだもの。
この時間に来たって言うことは、行くのでしょう？｣
｢え……行くって何処に……｣
｢決まってるじゃん！フットボールフロンティア！｣
ーーー
フットボールフロンティアが行われる会場に向かうと、既に野坂くんと西蔭くんがそこに居た。
プレイヤーズゲートの前で、数枚のカードを手に会話をしている2人の元へ、ゆっくりと歩いていく。
｢いたいた、野坂ぁ〜！
ほら、ちゃんと連れてきたよ！｣
｢何も言わずに来るなんて、何がしたいんだか。｣
｢ありがとう、2人共。
2人はプレイヤーズカードを持っていなかったよね。
試合後にでも合流しようか。｣
｢はーい！じゃあユズキちゃん、また後でね！｣
まどかちゃんと悠音ちゃんは、楽しそうに私に手を振って一般ゲートに向かっていった。
それを見送ってから、野坂くんは私に1枚のカードを差し出す。
｢そういえば、ユズキにはまだ渡していなかったよね。
これがユズキのプレイヤーズカードだよ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
