笑わない華 ＊ 3 ページ5
＊
｢｢お姉ちゃん/お姉さん は、魔法使いなんだよ！｣｣
｢｢……え？｣｣
｢姫宮、何かしたのか？｣
｢傷の手当……かな。｣
私の横で嬉しそうに“魔法使い”と連呼する彼等。
ただ慣れてるだけなんだけどね……。
｢ごめんね、お姉ちゃんは僕達と用事があるんだ。
また今度にしてね。｣
私の傍から離れない2人に痺れを切らしたのか、野坂くんが表情を変えずにそう言った。
その冷たい瞳に驚いたのか、2人は固まってしまった。
｢野坂くん……対応が雑だよ。
ごめんね、2人共……私、いかないといけないの。
またあおうね、ばいばい。｣
｢うぅ……ばいばい、お姉ちゃん……｣
特に意識した記憶もないけど、ふんわりと頭を撫でてあげてから、野坂くんに引っ張られるようにしてその場を離れた。
なんか……懐かれたなぁ……。
それからしばらくして……私は野坂くんに連れられて沢山の花が咲いている公園に連れてこられた。
優しい風に合わせて、ゆらゆらと揺れる紫の花達。
｢あっ！いたいた、野坂！｣
｢もう、悠馬から呼んでおいて待たせるのはどうなの？｣
｢少し手間どってさ。
この2人……ユズキなら、知ってるんじゃない？｣
突如野坂くんの名前を呼びながら現れた2人組。
片方が……茶色の髪をオレンジのリボンでツインテールにした女の子。
もう片方は……野坂くんに似たピンクの髪を背中辺りまで伸ばした女の子。
どちらも……見たことの無い顔だった。
｢ごめん……野坂くん。
私は知らない。｣
｢えぇっ！？私は知ってるよ！？
姫宮ユズキちゃんだよね！
あ、私は円堂まどか！よろしくね！｣
｢わ、私も一応……ね。
のさ……赤城悠音です。｣
｢……？｣
私は、この人達と会うために呼ばれたの？
何でだろう……？
別に、やることも無いからいいんだけど。
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