見えない仮面 ＊ 1 ページ31
＊
ここから過去回想に入ります
※過去回想時のセリフ『〜〜〜』
野坂とユズキの会話｢〜〜〜｣
ー
私の両親は、共働きだった。
昼間は仕事で忙しく駆け回り、夜は理由を告げずに2人して何処かに行っていて、朝になっても帰ってこないのが日常だった。
お父さんもお母さんも必要最低限の会話すら交わさず、顔を合わせれば喧嘩ばかり。
私が2人を止めようとすると、私にあたってくる。
お母さんの心もお父さんの心も、家のどこにも存在しなかった。
ー
｢今考えると、お父さんもお母さんも……夜、別の人と過ごしてたのかなって思うの｣
｢不倫か……｣
｢うん。帰ってきた時だけは機嫌良かったし……多分そう。
でも、親戚の人は……私が産まれるまでは、仲のいい家庭だったって……｣
｢産まれるまでは……続きは？｣
野坂くんに続きを促されて、私は再び口を開いた。
ー
私はそんな冷たい家に居るのが好きじゃなかった。
その分、暖かい友達や先生がいた学校は大好きで。
学校が、その時の私にとっての癒しみたいなものだったの。
でも私が普通だったら、きっと私はここにいないと思う……
ー
｢普通だったら？｣
野坂くんは首を傾げた。
私はそんな野坂くんに、なるべく怖がられないように、嫌われないように……と言葉を選びながらゆっくりと話した。
｢うん……私ね、何故か人より人を好きになりやすいっていうか……
好きな人がコロコロ変わってた、って感じかな？｣
｢……へぇ、それで？｣
｢初めはね……いいことだねって、皆気にしないでくれたの。
ユズキは、いい所を見つける天才なんだねって｣
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