壊れた記憶 ＊ 4 ページ25
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次の日、野坂くんは西蔭くんにも私にも告げずにどこかへ出かけていた。
私は、課題を終わらせてから軽い荷物だけ手に取り星章学園へ向かった。
コートではサッカー部が練習をしていて、ボールが右に左に動いている。
私が足を進めると、後ろから声をかけられた。
｢姫宮じゃないか｣
｢……鬼道さん｣
｢ふっ、試合の前に偵察にでも来たのか？｣
｢いいえ……私は、貴方に用事が。｣
私が鬼道さんの方に向き直り、怪しげに光るゴーグルを見つめながらそう言うと、鬼道さんはニヤリと笑った。
鬼道さんは、私が何を言おうとしているのかお見通しのようだ。
｢……いつの間に、灰崎くんを？｣
｢嗚呼……念の為にな。
まあ、俺達が負けることはないだろう。｣
｢そう、ですかね……｣
でも、咄嗟に口から出たのは、灰崎くんの雷門への編入手続きのことだった。
さっき、ふと星章学園について調べていたら灰崎くんの欄にそんなデータが書き加えられていたんだ。
私が曖昧な返事をして目を伏せると、鬼道さんはなにかに気づいたかのような声をあげた。
｢本当に俺に聞きたいのは、そのことか？｣
｢……なんで……｣
｢勘だ。｣
勘だけで私の考えてることが分かるなんて……。
そう思いながら、私は本当に鬼道さんに聞きたかったこと……─────────を聞いた。
鬼道さんは少し驚きながらも、｢仮定ではあるが｣と話をしてくれた。
鬼道さんの話は的を射ていて、私も納得する結果となった。
やっぱり、鬼道さんを頼ったのは正解だった。
｢ありがとうございました。
えっと……明日は、試合見に行くので。｣
｢明日も……だろう？
今回も星章が勝ちをあげて見せよう。｣
……鬼道さん、目が凄く良かったりするのかな。
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