壊れた記憶 ＊ 2 ページ23
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｢俺のやることは俺が決める！システムに決められるなんて耐えられるかよ！｣
｢……チャンスをやる。
今なら、まだ目をつぶってもいい。
僕だって上には報告したくない……心を入れ替えてチームのために力を尽くしてくれるかい？｣
｢……嫌だ。
俺は漫画だって読みたいし、テレビだって見たい。
アレスプログラ厶で全てを禁じられるなんてもう沢山だ！｣
竹見くんと野坂くんの言い合いを聞く皆も、どことなく気まずそうな表情をしていて。
もしかしたら、皆も竹見くんと同じようなことを考えていたりするのかな……。
｢そんな小さいことのために君は全てを失うつもりかい？
僕達は人の未来を背負っている。
僕達が結果を出せば、世界は変わるんだ｣
｢どう変わるって言うんだ！
優秀な人間がうまれるだけで、どう変わるって言うんだ！｣
生まれた、だけ……
何故かその言葉に怒りを感じた。
私はきっと、まだ全てを知らない。
でも……その言葉は、私からは野坂くんが生きている意味がないという風にも取れてしまって。
｢人の頭脳と精神の進歩はあらゆることを変える。
多くの技術革新は、世界の経済を変える。
医療はさらに進化し、多くの難病で苦しむ人の命を救える。
有能な政治家達は、戦争という浪費をなくし、人の憎しみも消えることだろう｣
｢いいかい、僕達のやっていることは、世界をいい方向に導くことなんだ……
僕達は、この手で世界を変えるんだ……｣
野坂くんは自分の手を見つめながら、そう言った。
世界を……変える？
完璧な機械のような人間を作って、経済を発展させて……世界を、野坂くん達の手で……ってこと？
｢そんなことは俺の知ったことじゃない！
野坂くんさ何も感じないの？
もっと色んなことをやりたくないの？
サッカー以外の遊びをしたり、ゲームをしたり……好きな子とデートをしたり！｣
私が複雑になってきた話を理解しようと頭を回す中、話はどんどん進んでいく。
｢俺、会いたい人がいるんだ。
だから、こんなところにいたくないんだ｣
｢会いたい人……君はその子のことが好きなのかい？｣
｢そうだよ、好きだ。
彼女と会いたいんだ。
なんて言うか、死ぬほど会いたいんだ……！｣
｢……ユズキ……｣
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